独伊の地位協定特集:集団的自衛権との関係が語られないという不自然 | 検証・報道ステーション

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このブログでは、テレビ朝日のニュース「報道ステーション」について、放送番組の編集について「政治的に公平であること」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」を定めた放送法第4条の観点から虚心坦懐に検証します。

6/23 (22:19頃)




(報ステ)

本日のゲストは、朝日新聞論説副主幹の立野純二氏





・独伊のアメリカとの地位協定についての特集(約30分)。日本はドイツやイタリアについて遅れているとの趣旨の取材、解説




・日本政府は、日米地位協定の改正をアメリカ政府に一度も申し入れたことはない





・同じ敗戦国のドイツやイタリアでは基地内の立ち入りも認められている





・ドイツ外務省の元法務局長へのインタビュー(「(国民の声に加えて)ドイツ政府が自国のことは自分たちで決めるべきだと考えた」ナレーション「(アイデル氏は)対等なパートナーとして扱うようアメリカに強く迫り続けた」)





・イタリアの元首相へのインタビュー(「まず安倍総理とオバマ大統領が話し合うべき」)




等の紹介




(立野コメンテイター)


「自衛隊を海外に送り出す算段を遮二無二に進める前にですね、私たちの足元で起きているこうした基地被害、暮らしの問題にもっと目を向けるべきなんじゃないでしょうか?」








(→コメント)





「自家撞着」という言葉は、正にこの番組のためにある言葉だといって過言はないだろう。













ドイツやイタリアがアメリカと対等な関係を築いているのは、「集団的自衛権」が行使できるからである。





ドイツはアフガン戦争に、イタリアはイラク戦争に参戦している。アメリカ主導の戦争に参戦した「ご褒美」で「対等な関係」をもらっているという、重要な「真実」を30分に渡る特集で口を閉ざすというのは、あまりにも不自然かつ不公正な報道だ。




私は、アフガン戦争やイラク戦争は、日本の存立危機自体ではないので、これに参戦する必要はなかったと思っている。しかし、ドイツやイタリアは参戦せざるを得なかった。。。この事実は重要だ。




「重要な真実を伝えない」これは立派な偏向報道だ。レッドカードに近いと言っても過言ではない。




経済学の常識の一つに「フリーランチ(ただ飯)はない」という言葉がある。みんなが、自分の利得を最大化しようと動いている世界では、リターン(利益)を得ようと思えば、リスクも取る必要がある、ということだ。




つまり、「うまい話には裏がある」ということだ。私は、これは重要な法則であるし、現実世界にも当てはまっていると思う。これを全国民が認識していれば、詐欺被害も減ると確信さえしている。




振り返って、現在の日米安全保障条約は、日本が攻撃された時はアメリカが守るけど、アメリカが攻撃されたときは日本は守らなくても良いという「片務的」な条約だ。




だとしたら、基地の運用についても「片務的」にならざるを得ない。




もし、基地の運用についての「片務的」な関係を改正しようと思えば、ドイツ外務省の元法務局長の言うところの「対等なパートナー」として立脚するためにも、ドイツやイタリアのように集団的自衛権の行使容認に舵を取る必要がある。




日本が攻撃されたら守ってください。でも、自分は、アメリカが攻撃されても助けません。ただし、基地の運用は日本の管理下に置かせてください。




などという理屈が通用しないことは小学生でもわかる論理だ。




古館氏や本番組のスタッフは、本気で日米地位協定を改正し、日米が「対等なパートナー」として歩むべきだと心から思っているのだろうか?




残念ながら、本日の報道では、私にはそうは感じられない。なぜなら具体的な解決策、交渉術を示していないからだ。





古館氏も、本番組も「繋がっている」という言葉を多用している。ある事件やイベントが他の事件やイベントと関連しているという文脈で使われている。





まさに、「日米地位協定」と「集団的自衛権」こそ「繋がっている」(リンケージしている)のに、今回は口を閉ざした。。







30分もかけた特集だ。しかも、安保法制が国会で審議中で毎日、本番組では取り上げている。それなのに、ドイツやイタリアの集団的自衛権には触れない。。







繰り返すが、あまりにも公平さを欠いた特集だ。これをもって、「報道」と称することに恥を感じないのか?




自分が、デスクだったら「穴があったら入りたい」気持ちになるだろう。







万が一にもないと信じてはいるが、普天間の現状固定か、或いは、日米安保を破棄して沖縄を外国の手に渡したい。。。そんな思いを抱いている勢力との主張とは一線を画すべきであろう。





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