人の信念って。


大きさもベクトルも、人それぞれ。


信念を貫く方法も、人それぞれだ。


沖縄・泡瀬干潟。


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この美しい干潟を形容する言葉は、ほんとうに切りがない。


「生物多様性日本一の干潟」

「ジュゴンが住める海」

「数多くの渡り鳥の飛来地」

「絶滅危惧種の生き物たちの宝庫」・・・


幾たびか、開発の危機にさらされて来た。
その度に、地元を中心にした有志の

強い反対運動によって守られてきた。


2009年10月、福岡高裁那覇支部は

「埋め立て事業には、経済的合理性がない」として

公金の支出を認めず、

工事は止まった。。。かに見えた。


「コンクリートから人へ」を公約にした

民主党政権の誕生で、

この貴重な干潟は、守られるはずだった。


ところが翌年、沖縄市が示した新しい計画

(埋め立て範囲を狭くしたが、

 干潟にダメージを与えるには充分過ぎる変更案)に、

新政権は同意し、今年10月には

埋め立て工事が再開してしまったのだ。


前原くんは、分かっているのかね。

そんな経緯とっくに忘れとるな、きっと。


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泡瀬干潟を守る連絡会をはじめとする

干潟を愛する人々は、

再び闘わなくてはならなくなった。


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僕たちが、ここを訪れた時も、

現場には殺伐とした空気が張っていた。

守る会の代表、前川氏が

工事現場の入口付近で僕らに状況を説明してくれている時だった。



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工事車両のトラックが、現場に進入するべく入り口に差し掛かった。


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僕らが道を開けないと、トラックとぶつかりそうなのだが

前川さんは「ここは横断歩道でもあるから、歩行者優先なんです・・・」

と、決してどこうとしなかった。
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トラックの方もスピードを緩めない。

僕はビビッて半歩後ずさりした。

前川さんは、運転手を睨みながら、仁王立ちだった。


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トラックは、前川さんの鼻をかすめるように通り過ぎていった。。。


前川さんの信念と覚悟が、そこにあった。




海洋楽者・林正道は、守る会に

干潟で海の生き物教室をやらせてくれないか、頼んだ。

前川さんは快諾してくれ、人々を集めてくれた。

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海洋楽者は、はじめて本物の海で

ロボット達を泳がせることにした。

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「本物の海には、本物の生き物がいるから

 ロボットの出番は無い」


それは、林の信念のひとつだった。

迷いに迷ったあげく

今まで一度もやらなかったことを

やる決心をした。



ロボットのジュゴンとアオウミガメは、
埋め立てのはじまった泡瀬干潟を泳いだ。



奥に見える堤防のようなモノは
工事のため既に埋め立てた部分だ。


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本当は、とても哀しい光景。

「これが本物のジュゴンだったら・・・」

現場の誰もが分かっていた。


それでも、ロボットのジュゴンは懸命に泳いだ。


前川さんをはじめ、守る会のメンバーに笑顔が宿った。


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現場に駆けつけてくれた沖縄タイムスの記者がつぶやいた。

「守る会の人たちの笑顔を、はじめて見ました・・・」




北風と太陽。

信念を貫く方法は、それぞれあっていい。


林もかつては、北風だった時もあったという。

「今は、笑顔でひとの心をノックしたい・・」・

太陽のような温かさで、己の信念を貫く。

しかし、僕たちが沖縄を後にしたわずか数日後、

沖縄タイムスに、こんな記事が載った。



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そこには、前川さん達の険しい顔があった。


前川さん達は、再び強い北風になった。




僕たちにできることは・・・

傍観者でいいのか。

祈るしかないのか。



僕たちにできることは・・・