東川寺の天狗と金毘羅大権現 (1)
天狗と金比羅大権現との関係。
高幢寺の什物にはこの天狗の団扇の紋が入っている」物が多い。
天狗は金毘羅大権現の眷屬(神仏の使者)とされるが、本来は古代中国で、天空より火を放って落ちてくる流星が天の獣のように見え見えたようで「天の狗」と呼ばれた。
「天の狗(犬)」は自由に空を飛び回る事から、羽根を持っているものと考えられた。
日本では「天狗」は羽根を背中に負い、羽団扇をも持っている山伏の姿として描かれることが一般的である。
この羽団扇はやがて山伏が山の中で修行していることより、山中に生息しているヤツデの葉がこの形に似ていて、大きくなると団扇のように使用できることから、いつしか「羽根の団扇」と混同され、「葉団扇」とされるようになった。
この紋もヤツデの葉の形を原形にしてデザインされた「葉団扇」である。
又、天狗は背中に羽根が生えていて、鼻が長く、赤い顔をしていて、手に剣を持ち、さらにもう一方の手には「鎖がま」の様な物を持っている「山伏」の姿として捉えられるようになる。
高幢寺よりもたらされた天狗のお面と、厨子(厨子は神仏をご安置する入れ物)に入っている「金毘羅大権現」もこの姿である。
「大天狗のお面」
「厨子入り金毘羅大権現」
この鼻の長い姿が「金毘羅ークンビーラ」の特長と一致することから、いつしか「金毘羅」と「天狗」を同一視されるようになったと思われます。