大施餓鬼法要

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先祖の御霊に感謝する

【お盆】

と言われる期間が今年も過ぎました。

７月がその期間に当たる地域もあれば、送り火や
迎え火、故人の霊魂がこの世とあの世を行き来
するための乗り物として、ナスやキュウリに足と
なる棒を刺して馬とみなす、

【精霊馬】

を用意したり、地域によりその様式は様々です。

先日、福井県勝山市にある、

【国泰寺】

において行われた、お盆行事の一つである、

【大施餓鬼法要】

に準備、参列させていただく機会を得ました。

この大施餓鬼法要は、

お釈迦様の弟子である阿難尊者（あなんそんじや）
が静かに修行している際、そこに餓鬼が現れ、

【阿難尊者よ、あなたの寿命はあと三日しかない。
そしてあなたは死して餓鬼道におちるでしょう」

と伝えました。

これを聞いた阿難尊者は驚き、師であるお釈迦様に
救いを求めました。

お釈迦様は、

【心配はいらない。阿難よ、ここに自分が昔如来から
　伝えられた施餓鬼法というありがたい法がある。

　汝は多数の餓鬼に大型の四角い枡の飯を与える事
　は不可能であろうが、この法によれば一粒の米が
　何倍にも増して、すべての餓鬼に施すことが出来る】

と阿難尊その法を伝授しました。

尊者はこの施餓鬼法を修法して寿命をながらえ
餓鬼道におちることから脱れることが出来たいう由来に
もとづき、先祖や万霊のために法要が営まれるように
なったのです。

国泰寺さんは黄檗宗系の寺院で、今回法要のために
本堂内、外に飾り付けや供物を備えるお手伝いを
させて頂きました。

狐という文字が刻まれているのが印象的です。

それは檀家さんのご先祖様方に対する供養だけ
ではなく、

【三界萬霊】

という様々な階層におられる人間でだけではない、
全ての御霊や、神仏や眷属といった彷徨う存在をも
救うために、このような祭壇や供物を準備します。

法要は、

代々伝わるこの経典をもとに、約２時間休むことなく
営われました。

大施餓鬼会の最も大切な心は、新約聖書にも記される

【与えよ、さらば与えられん】

という事ではないかと解釈しました。

法要中こんな事を感じていました。

私たちはご先祖様があり、ご先祖様が守ってきた、
食物やそれらを育む大地や生物、そして自然など
様々な要因があってこそ、今ここにこうして存在
しています。

自分一人で生きているのではありません。

目に見える存在、そして目には映らない存在から
既に様々な要因が私たちには与えられているから
こそ、ここにこうして存在できているのです。

仮にどこかに、与えられていない存在があるので
あれば、既に与えられていると気付いた私たちは、
大施餓鬼法要を通じ、それらの存在に今想いを
馳せています。

そう感じた時、お線香の灯も煙も、その香も、そして
ご本尊様のまなざしも、全てに優しさを感じました。

全ての御霊に心を手向ける事。

そう、それを与えたとするならば、

【与えよ、さらば与えられん】

優しさというエネルギーが与えられたのです。

そう感じられたのも、この縁あってこそのもの。

【実は、与える前に既に与えられていたのです】

新約聖書でいう

【与えよ、さらば与えられん】

に付け加えるならば、

【与えられていることを知った上で与えよ、さらば与えられん】

何も、

【無条件に無一文になるまで施しなさい】

ということではありません。

【既に与えられていることがある】

という事に気付けば、それは感謝というエネルギー
を放出する事になるでしょう。

その既に与えられていること、というものは、おそらく
日常生活の中では、当たり前のこととして取り扱われて
いる事かもしれません。

様々な事柄が、ただ当たり前という存在にならないように。

あらゆる行事は、私たちがそうならないように先人が残して
くれたものなのではないでしょうか。