イケメンは食べ物です!(それをやらすなら窪田あつこがいいジャン!! 私32才からお笑い芸人始めました。)


日替わりのキャスティングで男女一組のカップルが演じる朗読劇
(リーディングドラマというらしい)

『もしもキミが。』

を観て来た。
 原作は凛『もしもキミが。』ケータイ小説から人気爆発、後に単行本化されベストセラーになっている。

ストーリー
幼なじみの優基と麻樹はお互いに惹かれ合っているものの、気持ちを打ち明けられないまま中学3年生になる。しかし、麻樹はかつての輸血によってHIVに感染していることが判明し……。

日替わりで恋人の組み合わせが変わるのがこの舞台の特徴の一つだ。
3人×3人の計9通りの組み合わせで、リピーターも新鮮に楽しませる事が出来る。
 彼氏の優基役に向井理、石垣佑磨、中尾明慶。
彼女の麻樹役に芦名星、木南晴夏、佐津川愛美。
ドラマや映画等でお馴染みの大人気の面々だ。

私が観たのは21日火曜日の回
石垣佑磨と佐津川愛美コンビの日。

演出は映画『20世紀少年』も話題の堤幸彦。対角にある二面の巨大スクリーンに映し出されるイメージ写真画像も堤氏が手がけている。

ちなみに私の来場のきっかけは関係者のドタキャンだ。
「もったいないからあっちゃん代わりに行って」「はーい」
偉い人の顔を立てるのもフリーの私の大切な仕事。
という訳でなにがなんだか、期待もへったくれもなく豪雨の中、
会場に足を運ぶ。

 チラシを入手して初めて何が始まるのかぼんやり見えて来た。
が、残念な事にこの時点ではまだ期待薄し。
というのも私はそもそもラブストーリーが嫌いなのだ。

理由はいくつもある。

・ ラブストーリーはどれも似ている。
・ 日本人の演じるラブストーリーを見るのはテレくさい。
・他人の幸せ興味ない。

これ以上並べ立てても性格悪いのがバレるだけなのでこのくらいにしておこう。

 会場に入ってまず客層を見た。やはり、私のように女一人で観ている者は少ない……。だが、あからさまなカップルも少ないのは以外だ。年齢層は10代から60代位まで居る。男女比率はトントン、いや、若い女性同士で来ている人がそこかしこ。きっと彼女らは私のように美食家(イケメン好き)なのだろう。

「私絶対泣いちゃう」「私も号泣」「ハンカチ出しとこ」「私タオル」

前列に座っているOL風の二人の会話を聞いた私は
一応ヒザの上にハンカチを出しておく。
私も人の子、もれなく泣きのツボを押され泣かんとも限らない。
しかし、真逆の行動としてカバンからミントのタブレットも出しておく。
これは眠気が襲って来た時のため。

いよいよ始まった。
現れた俳優は二人とも、もちろんだが見目麗しい。
ほとんど動かずに観客をいきなり魅了した。
二人がスターたる所以だ、そこに説明はいらない。
声も心地よい。リーディングドラマをやるにあたり最も重要な『声』
全くもって申し分無い。

 最初から最後までゆっくりと動画ではなく写真(時には文字)がこちらの想像のタイミングで、もしくは意図的に少し遅らせてやってくるように感じられる。俳優に目を奪われ、例え映像を見逃してしまってもなぜか全く悔やまれなかった。写真は一枚一枚主人公の言葉と感情にうまくマッチしている。二人の見た景色や記憶が記号の様に静かに滔々と流れていく。それはまるで自分の記憶でもあるようにも想えた。不思議とこの形式の舞台に不慣れな私たちはすぐに、この特にセットもない簡素な会場にいる「観客としてのあり方」にルールがない事を知る。四角い舞台を360度囲んだ観客はそれぞれ好き勝手なところを、きちんと心を奪われて観ているように私には感じられた。

 さらにバイオリニストによる生演奏がこの切ないラブストーリーをますます盛り上げ、容赦なく深い感動に誘っていた。

目の前の「号泣する」と宣言していた女性は宣言通りになっていた。
私もなるべく上を向いて堪えるも、涙のやつ、水のくせに重力を逆らう。

なのでこの際、涙を拭う大勢の観客に混ざる事にした。
こうゆう時は強がらないに限る。

『大切な人の死と向き合う。
 または自らの死による大切な人との別れを受け止めなければならない。』

生きていればこれからどちらの立場にもなりうる。
その観点から言えば、このストーリーは全くのフィクションでもないのだ。

恥ずかしいくらい純粋な恋をしてちょうどいい年頃の二人は、
体当たりでまっすぐに感情をぶつけていた。優しさも、ワガママも。

あら不思議。私ったら苦手なラブストーリーを克服してしまったわ。

公演は4月25日(土)までTOKYO FMホールで上演されている。チケットがまだあるなら見に行くべき公演だ。
おすすめ! がんばってチケットとってみてみてね~!!


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