息子は幸い中耳炎にはなったことがありませんが、
少し前まで外来で中耳炎の患者さんが多かったです。
最近の中耳炎は治りにくい!
抗生剤に耐性がある(効きにくい)菌が増えていることや、
低年齢での集団保育が増えたことが原因かもしれません。
その中耳炎の原因菌の一つとして肺炎球菌という細菌がいます。
これを予防するワクチンがあれば、いいですよね。という期待の中、
乳幼児向けの肺炎球菌ワクチンが8月31日、
厚生労働省で承認されたことを先週知りました。
遅いかな?
今後、年内または来年?にも発売される可能性があるのかっと期待してます。
海外90カ国・地域で承認されていて、海外では定期接種:無料になっている国もあります。
日本では、やっぱりヒブワクチンと同じ任意接種:有料になるのかな。
成人向けの肺炎球菌ワクチン(ニューモバックスっていう商品名)は
すでに承認されているし、院内にもありますが、これは乳幼児(2歳未満)では効きません。
今回のワクチンは、免疫系が未成熟な幼い子どもに効くように作られているそうです。
肺炎球菌って何?という疑問がでる可能性があるので、ここで追加情報。
肺炎球菌は髄膜炎、菌血症、肺炎、中耳炎の原因となる細菌です。
乳幼児の髄膜炎を起こす細菌はいくつかありますが、
重要なものとしてインフルエンザ菌b型の他に肺炎球菌があります。
海外ではこの乳幼児向け肺炎球菌ワクチンが行われているところでは、
インフルエンザ菌b型(ヒブ)だけでなく肺炎球菌による髄膜炎も予防しています。
インフルエンザ菌b型はヒブワクチンの予防接種が日本でも有名になりました。
しかし、乳幼児の肺炎球菌感染症は乳幼児向けの肺炎球菌ワクチンが
国内で普通には行われていないので、予防できない状況です。
日本は予防接種に関しては後進国ですね。
接種時期や回数は海外を参考にすると
2か月から6か月なら三種混合ワクチンやヒブワクチンと同じ、
3回+追加1回になるのかな?
この乳幼児用の肺炎球菌ワクチンを乳児のほとんどが接種すると
高齢者の肺炎が減ったという報告もあるらしいです。
さらに、この乳幼児向けの肺炎球菌ワクチンでは、
肺炎球菌が原因の中耳炎をかなり減らすことができるらしいです。
インフルエンザ菌も中耳炎の原因になりやすいけど、
中耳炎をおこすのはb莢膜型ではないことが多いため、
ヒブワクチンではインフルエンザ菌による中耳炎予防効果は低いです。
このことから、中耳炎が治りにくい患者さんが増えているのを
外来でみている僕としては、個人的にはヒブワクチンよりも
待ち望んでいるワクチンであり、自分のこどもには接種させたいワクチンです。