今年からタネの交換のスタイルの一つとしてShareseedsをはじめました。

Shareseedsはハワイ発の伝統的な作物を繋ぐ「タネのプロジェクト」です。


昨年から遺伝子組換えに関する映画や伝統野菜の良さを伝える映画が日本でも数々上映されたこともあり固定種や在来種という伝統野菜に注目が集まっています。

僕はお米や野菜を自然農という無農薬で耕さない農法で作っているのですが、その上で「在来種」「固定種」を作る事も大切にしています。最近の野菜は効率(高収量・味・耐虫・耐病性など)を重視した、F1と言われる「一代交配種」が主流になってきて、だんだんと伝統野菜を作る農家は減ってきています。

昔ながらの品種で、今では作られなくなって、失われていった野菜はたくさんあるそうです。最近では遺伝組み換え種子と交雑することでの遺伝子汚染も進んでいます。

F1品種はもともと化学肥料や農薬を使う事を前提に開発された品種なので、実は固定種や在来種の野菜のほうが自然農・自然栽培・有機農法との相性もいい。

僕は味に関しても甘みだけを追求した一代交配種の野菜の味よりも、辛味、苦味、酸味があったりする個人的にはこういった昔ながらの野菜や果物の方が好きだし野菜の個性を最大限に引き出してあげるのも料理に携わる人の役割だとも思います。

もともと、郷土料理はこういった地方野菜の持ち味を生かしたものが多かったが、伝統野菜とともに、近年はこういった伝統的な郷土料理も少しづつ失われてきているように思います。

在来種と言うと「京野菜」とか「加賀野菜」とかはその代表的なものですが、日本各地にその地方野菜があって、愛知県にも「愛知の伝統野菜」があります。

本当の意味での「身土不二」という事を考えていくと、やはり自分の住んでいる気候風土に合うように百姓が代々、種取りを続けてきた昔ながらの野菜が体にとっても優しいと思うのです。

種を守ると言うことは、きっと先人の野菜作りに込めた想いも守り伝えていくということ。

たねをきっかけに人と人とが繋がる場つくりもしていきたいなと思います。

Shareseedsについて http://www.share-seeds.com/


在来種・固定種・F1種・遺伝子組み換え種子についての定義は以下の通りです。

■在来種
ある地方で長年栽培され、その地方の風土に適応した品種。

■固定種
人々が自然交配や何年にも渡り選抜淘汰して育種した品種。自家採種で次の世代の種を取る事ができる、ある程度の遺伝的多様性が含まれます。在来種はその地で土着したもので広い意味では固定種に含まれます。
固定種の種は品種名の上に「○○育成」と種苗会社の名前で書いてあるか、もしくは品種名だけ書いてあります。

■F1種(一代交配種)
日本語では一代雑種・ハイブリッド品種ともいう交配種のこと。好ましい形質(高収量・味・耐虫・耐病性など)を持つ異なる品種を人為的に交雑させ、両方の形質をかねそろえた種になる。 F2(雑種第2世代)には、多くの株に親(F1)と異なる形質が現れるため、自家採取がむずかしく、毎年種子を購入しなければならなります。
F1の種は品種の上に「○○交配」と種苗会社の名前で書いてあります。
※F1品種は、「異なる品種を交配させ雑種を作ると、親より優秀な子ができることを利用した育種方法(メンデルの法則)」によって作られる。種の交配によって欲しい特性を強化する方法なので、遺伝子の組み換えとは異なります。

■遺伝子組み換え種子
遺伝的に手を加えられ、除草剤耐性(全体の71%)や殺虫性(28%)などの新しい性質を獲得した植物。GM作物には、ダイズ、ナタネ、トウモロコシ、綿、ジャガイモ、トマト、テンサイ、スクワッシュ、パパイヤ、マンゴーなどがあります。これまでの種と決定的に違う点は、「種の壁を越える。」と言う点です。
ex) 「種の壁を越える。」とは、 
例えば 殺虫性の性質を持つ昆虫の遺伝子をとうもろこしに組み込む。
遺伝子組替えは、遺伝子レベルで、目的の遺伝子を一本釣りして、相手の遺伝子に組み込み、遺伝子情報を換える方法です。その特徴としては、DNAの断片を用いるので、どの生物間でも遺伝子組替えが可能になります(種の壁を越える)。本来、人間は人間としか交われないし、植物は植物としか交配できないのですが、その領域を越えたのが、遺伝子組み替え作物なのです。

自然界でも遺伝子組替えは行われています。生殖細胞(精子と卵子)が作られる時には、日常的に遺伝子組替えが起こっているといわれます。これが生物の多様性を生み出す原因です。しかし、そこで組替えられるのは親の遺伝子であり、親の持っていない遺伝子の組替えは起こりません。種の壁は越えないのです。

これらの種子から作られる遺伝子組み換え作物・食品に対して、
①遺伝子組み換え種子を販売する多国籍業による農業支配
②遺伝子汚染による生物多様性の危機
③食品の安全性・人体への被害

などを懸念する声が日本を含め世界各国の市民・農民・NGO団体から上がっています。

今の時代、7世代先の子供たちに何を残していくべきか考えなくてはいけないターニングポイントに来てると思います。

僕は生物の多様性、食の多様性という宝物こそ、未来に残していかなければいけない本当の宝物だと信じて行動したいと思います。