天才画家 池田学さんの描く 「部分」と「全体」 | 考える道具を考える

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池田学部分
昨日ご紹介した池田 学さんの「再生」というタイトルの作品のディテールをご紹介しましょう。
珊瑚に包まれた軍艦のペン画の左側にある部分の絵がこの写真です。

精細画を拡大してみていくと、そこには、細かい「日常」を想像させるディテールの書き込みが綿々と続いています。軍艦という全体の絵は、こうした海の中の様々な出来事をディテールとした部分の連続によって全体像が完成しています。

イルカの群れといった部分のタイトルまでついてる池田さんの作風は、このように気が遠くなるような「部分の積み重ね」によって全体が完成されていきます。

とても奇麗ですね。(この作品は浜松美術館に所蔵されているようです)

‥‥

この絵を見ていて、いろいろなことがイメージできます。
解釈は見るものの自由。

    ‥‥全体「軍艦」 → 部分「物語」 
      → 部分の一部「一本の線の積み重ね・努力」 → 一本の線は「点」の連続
      → 点は、感受性の「発露」 → 一つの点はさらに細かい「点」の集積

ミクロの世界にどこまでも落ちていく時、
画家の指先から落ちてくる一本の線は、
ほとんど「奇蹟」としかいいようのない感受性につながっているように思えます。

人間が生きるということも、その瞬間瞬間は、この絵の一本の線、あるいは点の連続と同じように、
点の連続によって時間が流れていくのだろろうな‥と思います。

多分、人間は一生にたった一枚のキャンパスを完成させるに過ぎないんだろうな‥‥
などと考えています。

    ‥‥但し、その絵が、どんな全体を見せてくれるのか‥
      それは完成してみなければ分からないということなのでしょう。

さて、答えを得るために、焦るのはやめましょう。
今日も、一つの「点」が残せればいい。