夏のパンに彩りのジャムを塗る | バッドチューニング物語

夏のパンに彩りのジャムを塗る

ジンジャエールの空に喜びの泡沫が消える
エアコンのない生活から脱出した
あのうだるような暑い部屋に未練がないわけではない
夏の暑さというのはそういうもので
「暑い暑い」と言い、グダッとしながら
かき氷を食べたり扇風機に話しかけたりするのも夏の醍醐味

でもやっぱりクーラーのある生活は快適である
今日は部屋をギンギンにひやして毛布をかぶって
藤子(F)不二雄異色短編集を貪るように読む

「懐古の客」という話がある
未来からやってきた観光客が現代にやってきて
文化の違いを体験ツアーする、という話
未来人にしてみれば現代の文明などはまるで未開の地
野菜やパンが土壌栽培な事に驚き
人と人とのふれあいに感動する
ぼろアパートを間借りしてまるで原始人の生活だと喜ぶ
しかし免疫力が極度に低下しているために
簡単な病気で重病に陥ってしまう


人間本来の人間らしい暮らしとはなんだろう
クーラーの効いた部屋で少しばかり考えた夏の日でした