新興国通貨が軒並み下落、インドなど一部中銀は介入実施か
[ダボス/ロンドン 24日 ロイター] -24日の外国為替市場で、中国の景気失速や米緩和縮小などが懸念材料となり、トルコリラなど新興国通貨が軒並み下落した。インド、台湾、マレーシアなどの中央銀行が自国通貨防衛に向け介入に踏み切ったとみられるほか、ロシアはルーブルの変動幅を変更するなど、各国当局は対応に追われた。
http://jp.reuters.com/article/JPbusinessmarket/idJPTYEA0N08D20140124
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23日の中国PMIの大幅悪化を皮切りに、米量的金融緩和縮小による新興国からの投資資金流出懸念が台頭し、アルゼンチンペソが15%下落。
翌24日はアルゼンチンショックが他の新興国通貨に飛び火した格好となり、各国通貨管理当局は対応に追われました。
日米欧株価も急落となり、1997年のアジア通貨危機を引き合いに出すニュースも見受けられますが、この一連の通貨危機は広がりを見せるのか、株価に与える影響はどのようになるのか少し考えてみたいと思います。
まず発端となった中国株式市場の一週間の値動きです
発端になったにもかかわらず、この2日間の値動きは堅調です。
次にアルゼンチンの株価指数です
半年チャートですが、こちらはこの数日で大きく下落しており、上昇していたものが25日線まで押し戻された格好です。
25日線に戻っただけでたいしたことは無いとも思えますが、もう少し長いチャートを見ると様相が違います。
2002年のデフォルト-経済危機から既に数十倍の大バブルとなっており、2009年の世界金融危機から見ても5倍以上の株価となっています。
5倍以上のバブルが崩壊した場合、日本や中国のように数年~数十年の株価低迷につながる例が多く、
仮にこのままバブルが崩壊すると、アルゼンチン経済も長期の低迷に入る可能性が否定できません。
アルゼンチンペソの対米ドルチャート
2002年に変動相場に移行して急落した後は、輸出回復により経済が持ち直し2006年まで堅調。
その後は2009年の世界金融危機以降一貫して売られ、今回それがさらに売られた格好です。
今回の通貨変動が大きな転機であることを予想させるとともに、以前の新興国通貨危機とはいくつか違う面もあります。
近年の通貨危機で思い出されるのは1997年のアジア通貨危機、その前の1992年のポンド危機です。
このときはヘッジファンドが対象通貨を売り浴びせ、各国通貨当局が防衛するという構図でした。
今回はヘッジファンドが入っているのでしょうか?
アジア通貨危機もポンド危機もどちらも通貨の変動が許されない背景がありました。
アジア通貨危機の際、アジア各国はドルペッグ制をとっており、通貨の売り浴びせに対して通貨管理体制上の都合から対抗せざるを得ませんでした。
通貨当局は金利を引き上げ、外貨準備を売り払って自国通貨を買い支えましたが、ヘッジファンドの資金量にはかなわず撤退を余儀なくされました。
ポンド危機もERMに参加していたので同じような構図です。
しかし今回、ペッグ制をとっているのはロシアだけです。
今回の新興国通貨危機際して各国の対応はさまざまであり、アルゼンチンはドル買いの税率を引き下げ、ロシアはペッグ制の変動幅拡大を容認するなど、通貨防衛とは反対の動きで対応しています。
戦う相手もいないのに、ヘッジファンドが大挙して押しかけてくるだろうか?
今回の動きは米金利引き上げを見越した新興国からの資金引き上げに過ぎないような気がします。
そして引き上げた資金はどこかに行くはずで、それは結局欧米や日本に向かわざるを得ないのではないかと思います。
ちなみに1997-1998年のアジア通貨危機前後のNYダウのチャートは以下の通り
当時アジアを得意先としていた日本は大きな株価下落に見舞われましたが、米株にはほとんど影響はありませんでした。
現在進行形の経済事象のため見通しは難しいのですが、今回の新興国通貨安が局地的な動きでとどまるのであれば、日本株に対する影響はそれほど大きくはならないのではないかと思います。