1年ほど前のことだが、日本経済新聞に、国内最大手の製薬会社「T薬品」の3月期決算の純利益が史上最高の3300億円と報道されていた。
今年はどうかと調べてみたら純利益は昨年比24.5%増とさらに増えている様子。
S病院のH先生は製薬会社の利益についてこう言っていた。
日本の製薬会社が世界に通用する力をつけることは悪くない。
しかし日本の医療全体を考えると、製薬会社だけが莫大な利益を上げて、病院の経営はどんどん苦しくなっていく現状は、バランスを欠いている。
今後どうなるかは知らないが、大手製薬会社はこれまで官僚の有力な天下り先でもあった。
ここまでバランスが悪いと、国が医療費の配分を決定する権力を全部握っているのをいいことに、製薬会社への利益誘導が行われてきたのではないかと勘ぐってしまう。
日本の医療の公共性と公平性の高さを考えたら、製薬会社が利益を独り占めするべきではない。
得られた過剰な利益は医療現場へ、つまり国民や医療従事者や医療機関へ還元すべきだ。
それをするつもりがないのなら、国が薬品の価格を「製薬会社が適度に潤うレベル」まで下げるべきであった。
これまで診療報酬改定があるたびに薬価(国が決める薬の値段)は引き下げられてきたが、製薬会社が企業努力で吸収できて利益が十分残る程度にしか下げられてこなかった。
また新薬には開発費用の元を取って余りある高い値段がつけられることも少なくなかった。
そうでなければ、これだけ医療費抑制(最近は適正化などと言い換えているが)を叫び続けているのに、史上最高益が出るはずがない。
今年になって医療制度が改変され、ただでさえ医師・看護師・検査技師の不足で苦しむ利用現場がさらに苦しくなることが懸念されている。
その中で大手製薬メーカーの利益は順調に伸びていることはどういうことなのかを考えていきたい。
官僚の天下り先の大手製薬会社の利益を優先するような社会構造になっていると疑われても仕方のないこの状況。
果たして真実はどうなのでしょうか。
少なくとも薬漬けで身体を壊すことにはなりたくないし、お医者様には薬のことを熟知していただきたいと思います。