印象深い技術経験(3) | 技術コンサルティング研究会 BLOG

印象深い技術経験(3)

こんばんわ。タコスです。

私は学生という立場ですので、大学での研究経験についてに書かせていただきます。
具体的に主観がだいぶ入りますが、自分の研究経験から理想的な研究(室)の指導体制
について主に人間関係的な観点から書こうと思います。ある程度会社組織にも当て
はまる部分があるのではないかと思います。

私の所属していた研究室は学部生、大学院生含めて80人ほどと大所帯でありながら
教授と准教授しかスタッフがいないという環境でした。しかもドクター、ポスドク
もいませんでしたので実質的に修士学生が研究室を動かしていくという体制でした。
私も修士でしたので、指導する後輩も自分一人で少なくとも5~6人はいました。また
研究分野は近いものの各人である程度異なっていました。

このような背景のもと、私は自分の研究に励むのは当然のこと、どうやったら後輩達
の研究をサポートできるか
について日々考えていました。具体的に、①後輩の研究に
対するモチベーションをあげること、②研究成果を出すこと、③自立させること
について簡単に書きたいと思います。

①後輩の研究に対するモチベーションをあげること
まず根本的な部分です。研究室で研究をするというのは教室で座学を受ければよいという
ものではなく、能動的に意欲を持って行動しなければダメです。また授業というものは人
から知識を与えられるものであるので、受動的に何も考えなくてもある程度できてしまう
ものです。したがって研究室に配属された学部生に対して研究に対するモチベーションを
高めてもらわなければなりません。
そのために私が心がけていたことは、コミュニケーションをこまめにとること
です。その目的は、相手に対して自分がその人に興味を持っていることを印象づけ、
研究室に相手の存在がなくてはならないものだと気付かせる点です。これによって研究室
に来る動機付けがなされます。また付け加えて、、困っていることや新しくやりたいこと
など常日頃相手が考えていることを共有することでなるべく研究に対するストレスをなく
すことです。具体的にしつこくない程度に話しかけたり、相手が落ち込んでいそうなとき
は二人で話したり、逆にあえてメールでコミュニケーションをとったりしていました。
なるべく相手の性格を考慮してコミュニケーション手段を変えていました。また、ただ
怠慢で研究をさぼっている相手には、自分が相手の研究分野の論文を読み、こんな結果
もあるのだと興味をもたせていました。


②研究成果をだすこと
研究は何も考えなくても手を動かしていればなにかしらの結果が出ます。しかしいくら
ネガティブデータがでてもその結果に対して考察をしなければ同じことの繰り返し
です。また学部生時代テストの点数がいい人が必ずしも研究において素晴らしい成果
を上げられるとは限りません。その方向性が正しくなければマイナスな結果を蓄積する
だけですし、マイナスの結果が出たときに軌道修正しなければ本筋からずれて行ってし
まいます。研究者にありがちなのが、仮定と違う結果が出たときに、それが逆に研究的
におもしろい結果だと本筋のテーマからずれた方向を突き進んでいってしまうことが
多々あります。研究者は自分の興味を広げて結果を出すものですので、おもしろい結果
がでたらその方向に転換しがちです。それで最終的に論文となる結果がでればよいの
ですが、はっきりいっておもしろいデータなど世の中に無限にあり、だから研究者が
たくさんいるわけです。また当然最初に行っていたテーマもおもしろいものであった
はずなので本筋の研究からずれるべきではないことが多いです。特に学生は卒業論文、
修士論文にしてまとめなければならないはずなのである程度以上道を外れてはいけま
せん。それは今までの研究がそれ以上進めるのが不可能になり、撤退すべきときだけ
です。面白いデータが出ても学生である以上あまり横道にそれるべきではありません。
また教授はたいてい良いデータを追求させたがるものですが、それは他の暇そうな人に
投げてしまいましょう。もちろんこれは主に修士以下のある程度時間が限られた人に対
する話です。したがって結論が遅くなてしまいましたが、指導的立場にいるときに、
相手のテーマの目的を見失わせることなく、客観的かつロジカルに研究を補助して
いくこと
が大切だと感じました。あと成果が出るかどうかはロジカルに当てはめた
思考過程の要所要所に対してどれだけ考察できるかです。これは具体的すぎるので書き
ません。


③自立させること
これも②と似ていますが、結論から言うと、目的にそくして今までの結果をまとめ、
展望を考えること
。当たり前と言っちゃ当たり前ですがやはりこれがみんなあまり
できていません。展望の具体例については省きます。この際指導者が気をつける点は、
結果に対しては目的に対する論点をはずれないようにまとめさせること。また展望に
関してはツール、フレームワーク、データベースなどスキルに属するものは提供して
よいが、アイデアは出さないことです。アイデアを出してしまったらいつまでたって
も考えないままで自立できません。大事なところは紙に書き出すことです。これは意外
にみんなやっていません。常日ごろ紙にかきだしておけばよいのですが、それをやって
いない場合、一度自己ブレインストーミングをやってロジックツリーに書き出し、
ロールプレイングしておくことが大事です。またこのときにアイデアを固定観念化
しないで、常に新しい情報を受け入れ、そこに組み入れることを忘れてはいけません。


これらのことに気をつけて指導してきた結果、自分も学生で指導される立場なのであまり
偉そうなことは言えませんが、後輩は少なくともロジカルには考えられるようになったと
思います。はっきりいってこれができれば、問題になるのは情報収集能力とcreativity
ぐらいのものかと思います。まあ研究の分野ではcreativityが一番大事だと思うので、
この点に長けていない人は研究者には向きません。しかし修士ぐらいまではなんとかなる
かなというのが自論です。


最後に長くなってしまったこととあえて抽象的に書いたことをお詫びいたします。