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しあわせのねだん (新潮文庫)/角田 光代
¥420
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あらすじ

最新の電子辞書にえいやと24000円を払ったら、品物と一緒にうたぐりぶかい自分がついてきた。アジアン定食8NZドルで寛容に触れた。人助けにと出した1000円には今も怒りが収まらない。生きていれば自然とお金は出ていって、使いすぎればサイフも気持ちもやせるけど、その全部で私は何を買ったことになるんだろう。

角田さんがお金を通して人生の謎に迫る異色エッセイ。




このエッセイを読んで、角田さんのイメージが変わったように思います。

とはいってももともと具体的なイメージをもっていたというわけではないのですが。



なにをどう思ったかというと、意外とおばちゃんであるということ(笑)。

しかし力強く、若々しいおばちゃんであるということ。

もっと凛として、すっとしたイメージを持っていたのですが、どうやら意外とざっくばらんな人らしい。

しかしイメージ通りの部分も。

それはどこかといえば、変わり者であるということ。

変わり者といってしまうとなんですが、普通のおばちゃんぽいのにどこか我が道を突き進む行動力のある人なんだなと。

これは僕の勝手な偏見ですが、やはり何かを作る人というのは我が道を持っていて、それがくねくね曲がっていようが、真っ直ぐであろうが、とにかく自分の道をひた走る部分が色濃く出るよなと思っていますが、角田さんはまさにそんな感じでした(笑)。



さて、角田さんの初エッセイでしたので、角田光代という人物像のイメージ作りから入ったわけですが、そのイメージ作りの材料が「モノの値段(お金)」だというからこのエッセイは面白い。

お金の使い道というのは人それぞれで、僕なんかは正直何にいくら使ったとか、何を買ったのかというのを悟られたくないタイプですが、それくらい恥ずかしい部分というのはあると思います。

それをネタに、例えば『電子辞書 24000円』とか、『想像力 1000円』といったようにそのときに購入したものと値段について書かれていくわけですが、自分のを知られるのは恥ずかしいといっておきながら、他人が何を購入して、そのときの心境や満足度なんかを文章として読んでみるとあぁ、わかるよなぁと共感してみたり、そんなことにお金を費やすのかと驚いてみたりと楽しんでしまうわけです。



そして最後には(最後のお話しをしてしまうのでご覧になっている方はご覚悟を。)このような話で締めくくっています。



20代のときは装飾品にお金をかけることはせず、週3,4日の飲み代(約3000円から1万円)に費やしていたと。このときの経験は自分にいかされているかはわからない。これが映画代に費やした人は人より映画をよく知っているだろうし、食事に費やした人は舌が肥えているだろうと。一方で30代後半の知人が20代からその分貯金をしていたため今ではかなりの貯蓄額があるらしいが、その人の中身は薄いように感じると。



これの話を読んで、お金を使うということについて何か考えさせられたといいましょうか…

例えば僕なんかはまだ自分で稼ぎはじめたばかりのペーペーですが、これからそのお金をどう使うのかというと、どこまで貯蓄に回せるのか、貯蓄なんか関係ねーとマンガやらなにやらに投資してしまうのかはわかりません。ただ、何も使い道がなく、ただ貯蓄するだけではもったいないこともあるのだなと。


そう考えている角田さんのお金にまつわるエッセイだと思うと、この一冊はただの恥ずかしい部分をさらけだしている笑い話だけではないなとも思えてきました。



こういった「THE・企画もの」みたいなものに弱い僕ですが、これまたなかなか興味深い本に出会ったかと思います。




ふぅ…



さて、GW中に読み終えたというわけではありませんが、GWを挟みながら読み終えたのはこの1冊のみ。

まぁ読書ペースは落ちてはいるものの、もともとはこんなペースだったなと。

とりあえず連休中は新潟にいっていたりもしたので、文芸に浸った連休とはなりませんでしたとさ。