美女と竹林 (光文社文庫)/森見 登美彦
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あらすじ

「これからは竹林の時代であるな!」閃いた登美彦氏は、京都の西、桂へ向かった。実家で竹林を所有する職場の先輩、鍵屋さんを訪ねるのだった。荒れ果てた竹林の手入れを取っ掛かりに、目指すは竹林成金!!しかし多忙な登美彦氏。構築されるは成金経営ではなく妄想と言い訳の日々……。

著者独特の文体で綴る竹林随筆。



森見登美彦さんの初エッセイです。

しかし内容はひたすら竹を刈る、休んではまた竹を刈り、仕事に追われながら竹を刈る、そんなエッセイです。

正直これは森見ファンでも玄人向きだといえるほど難儀な本でした。

ひたすら竹を刈るという苦行がこちらにも伝わってきたかのようです。

つまりなんというか

僕はそれほど好きな本じゃありませんでした。


まずちょっと読みづらい。

文体は相変わらずの森見節ですが、内容が面白くないとここまで読みづらく感じるのかとはじめて気がついてしまいました。


そして読み飽きる。

竹をひたすら刈るというお話は実は結構オモチロイ。オモチロイが飽きる。不思議な話なんですよ。

多分、じっくりと時間をかけてひとつひとつ消化していけば案外竹を刈っている森見さんたちの思考を楽しみながら眺めることは出来ます。


作中に出てくる友人知人はもちろん変な方ばかりで(失礼)、まるで森見さんのフィクション作品に出てくるよう。彼らとの関わりを楽しむのもこの作品の読み方かもしれません。


今まででもっとも玄人向きな森見作品。

エッセイといいつつ妄想気味な私小説。

これを取っ掛かりに登美彦氏を知るのはいいことだが、

これを読んで登美彦氏の小説を好きになるのとはまた別の話。


ふぅ…


読む時間をとれなかったというのはあるけれど、結構時間がかかった1冊でした。