【ソラニン】 浅野いにお ヤングサンデー掲載
あらすじ
大学の音楽サークルで知り合った種田と芽衣子。ふたりは付き合い、大学卒業後の今も続いている。種田はデザイン系のバイトを、芽衣子はOLとして働きながら同棲する日々―
面白みを感じない会社に嫌気がさした芽衣子は種田の一言によって会社を辞めるが、これをきっかけに自分たちの夢、すすむ道についてそれぞれが考え始めるようになる。そして芽衣子が放った種田が音楽を続けるということからにげているという一言からひとつの曲を完成させレコード会社に送ったのだが…
なぜ今頃このタイトルかといえば、映画(DVD)でソラニンを見たついでということで…
まずは漫画の話。
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完全にジャケ買いだったこの漫画。気がつけば人気者になり、気がつけば映画化され、劇中歌も出来上がるという作品になられましたが、それも納得の面白さがあります。
とんとんとリズム良く展開されていく物語。
要所要所で挟まれる馬鹿馬鹿しい笑い。
すっと流れ出す涙。
全2巻という短い漫画ですが感覚としては上下巻といった感じでしょうか。
きれいに話が進んで行き、まさかの展開に驚かされ、静かに物語が終わっていく。
こういった小説のような漫画がどんどん増えていってもいいよなって思うような仕上がりでした。
浅野さんの漫画は『虹ヶ原ホログラフ』や『ひかりのまち』くらい読んだことが無いのですが、オシャレな漫画を描く人ですね。
風景描写は丁寧で、情報量が多いので漫画という枠から一歩飛び出したような感覚になります。
そこに加えて『青春』の表現の仕方が実に暑苦しい。
でもそこを照れずに読ませてくれるあたりが読んでいて気持ちいいんですよ。
こんな青春送りたかったな、こんな馬鹿なことやっちゃうんだよな、と イケてた人もイケてなかった人も読める漫画になっています。
ただ、僕はこの漫画を今読むとグサグサと胸の奥の方がえぐられるような気がするので熟読できませんが(^▽^;)
そして映画の話。
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はじめは上手く仕上がるの?なんて半信半疑だったのですが、見てみればあぁなるほど。
まず実写化に伴って出てくる一番の問題は配役ですが、これに関していえば完璧だったといえるでしょうね。
どの人をとっても間違いない配役。なんというか逆に映画を漫画化(デフォルメ絵)にするとこうなるってくらい良かったと思います。
物語りも多少削った部分はありますが、ぶれることなく、急ぐことなく話が進められていきました。
一番の問題はライブ。この映画では演奏能力や歌唱力がトップじゃだめだと思うのです。演奏技術に関してはまったくわからないので置いておいて、芽衣子(宮崎あおい)の歌声が良い感じで「バンド初めたばかり」になっています。もし宮崎あおいさんがものすごく上手だったらがっかりしていたと思う。そういう点では完璧だったなと。
芽衣子が歌っている―この状況がとてもぐっと来た場所で思わず涙ぐんでしまいました。
何よりも作中で使われていた「ソラニン」の歌詞(浅野いにお作)がそのままアジカンが作った曲にのせてひとつの作品になっていたことが感動ですね。またこれがいい曲なんですよ!ぜひ聴いてみてください!
ここまで褒めておいて おすすめの映画です!!!といえないのは、やっぱり漫画と比べると・・・なんて意地悪な話になってしまうのですが、映画も決して悪くない作品だと思います。
根本的に、ただ夢を追いかけるバンドマンという人種には共感できないとか、現実に真っ直ぐ向き合えない青臭さが嫌いだって人には厳しいとは思いますが・・・それだけ真っ直ぐな青春ものとして楽しめると思います。
ふぅ…
この作品の最大のよさは、もしかしたら『ソラニン』の歌詞かもしれません。
正直映画を見るまで(つまり漫画を読んでいた時点)ではそれほど気にせずに通過していたのですが、映画となり、曲が加わり、歌詞に注目しているとこれが中心だなって。
作中では 「別れの詩じゃん」 と芽衣子に言われます。 そうも読める。
芽衣子がギターを弾くようになって 「自分との別れの詩」 と気がつく。
そして読者や視聴者からすると 「『ソラニン』を写した詩」 だと思える。
なんだかそう思うとすごい歌詞を書くもんだと感心してしまいます。。。
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