チエちゃんと私 (文春文庫)/よしもと ばなな
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あらすじ

イタリア雑貨の買い付けをしながら一人暮らしをしていた私の家に、7歳年下の従妹チエちゃんがやってきた。率直で嘘のないチエちゃんとの少し変わった同居生活は、ずっと続くかに思われたが……。家族、仕事、恋、お金、欲望。現代を生きる人々にとって大切なテーマがちりばめられた、人生のほんとうの輝きを知るための静謐な物語。



タイトルに惹かれて手を伸ばし、裏表紙のあらすじを読んで決意をし、本を開いて焦りだした、そんな本でした。

あらすじを読んでの僕はチエちゃんと私の人物像を完全に勘違いしていたのです。

何がびっくりしたって、彼女たちの年齢です。

僕は勝手に「私」を20代半ばから後半にかけてのいわゆるアラサーな女性、チエちゃんを高校生もしくはもっと幼い子どもをイメージしていたのですが、開いてみればあらあらまぁまぁ。

彼女たちはアラサーどころかアラフォーでした。

ん~、別にアラフォーが悪いというわけではなく、もっとキラキラPOPな感じをイメージしていた僕としては急に彼女たちの容姿(脳内)が変わってしまってびっくりしてしまったんでしょうねぇ。

一瞬本を閉じて寝かせようかと思ったほど。


でもまぁせっかくだしと読み進めていったわけですが、困ったことに彼女たちがどうしてもアラフォーに思えない。

彼女たちが動く姿というのはそう描写が多くはないものの、なぜか若々しい。といってしまってはアラフォー世代に怒られてしまいますね。


ということでびっくりしっぱなしだったわけですが、物語としては少々弱い感じがしたように思います。

いや、でもこれがこの本のよさであることもわかります。

彼女たちは少々変わった同居をしている。

きっかけも突然だった。

それでもふたりはお互いの生活に干渉することなく、互いの生活を壊すことなく見事に同居している、そんな穏やかな生活はすっと体になじむようにわかります。

この穏やかで柔らかな日々というのはそんなにしっかり描かれていない。

でもふたりの柔らかな日々っていうのは「私」の強い気持ちから感じ取ることが出来る。

そういった「私」のチエちゃんに対する真っ直ぐな気持ちを読み続けていく、という感じでしょうか。


最後のほうでは恋人(のような存在)が現れたり、ちょっとしたチエちゃんとの事件が起こったりするのですが、いつまでもスローテンポなやさしい時間が流れます。最初のボディーブローも効いてか(笑)短い話しながらちょっと読み進めるのに苦労しましたが、久々によしもとばななさんの作品を読みましたとさ。


もしもこの「私」がチエちゃんにたいしてもっと違う思いを抱いていたとしたらこの本を読むには引いてしまったかもしれませんが、強い言葉や想いとは逆にさっぱりした性格なので意外と「私」が怖くないです(^▽^;)



ふぅ…


40前後の女性が共同生活を送るという設定があってこその物語なのでしょうが、やっぱりちょっと違和感を感じるのはまだまだ僕がお子様だからなんでしょうな。

最後までこの設定の話をしてすみませんでした。


この設定がすんなり受け入れられるようになったとき、ぼくはまたひとつ新たな分野の本を読んでいくことが出来るのでしょうね。。。

そんな日がくるのが楽しみです。