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[ ラーメンにライスはありなの? ]

ラーメンにライスはありである。

焼きそばにライスはありである。

チョコレートに果物はなしである。

そして森見作品に脱男汁はおおいにあり得たのである。


ペンギン・ハイウェイ/森見 登美彦
¥1,680
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あらすじ
ぼくは小学四年生だが、大人に負けないぐらいいろいろなことを知っているし、努力をおこたらないから、将来はきっとえらい人間になるだろう。五月のある朝、ぼくの住む郊外の街に突然、ペンギンたちが現れた。このおかしな事件には、歯医者のお姉さんのふしぎな力が関わっているらしい。「この謎を解いてごらん」お姉さんは言った。そしてぼくは、ペンギンとお姉さんについての研究を始めた。


なんというか、、、すごい作品でした。
面白い!というか、いい意味で新しい森見登美彦を見ることができてよかった、そういう感じです。
夜は短し~や、四畳半神話大系のような不毛な大学生の「むさ苦しさの愛おしさ」はない。
しかし、上作品らに見られる3:7で酸っぱさのほうが勝るような甘酸っぱい恋模様はある。
そして今回ぐっと引き込まれるのは、今までのファンタジー色を強め、どちらかというとSFっぽさのある作品である。

今回の主人公は小学校4年生の「たいへん頭のいい」男の子である。
ノートをたくさんとり、いろんな本を読み、歯医者さんのお姉さんのおっぱいに興味を持つというこの先期待していいのか悪いのか、いや、おっぱいについて深く考えるような「男」なのだからむしろ期待大な小学生である。

この男の子、名をアオヤマくんというのだが、彼が非常にいい味を出していました。
どこか自分の努力を自負している面が強すぎて、口調はちょっと鼻にかかった感じで、大人になることを待ち望んでいる点なんかは一歩間違えたら嫌味ったらしいお坊ちゃんになりかねないのですが、アオヤマ君は嫌味がない。
だからどんなに彼が大人びた発言をしても気持ち悪さ(違和感)がなく、小学生の大冒険物語も臭くならずに済んでいるような気がします。
過去の主人公のような理屈っぽい皮肉さを備えている点が、あぁやっぱりこれは森見作品だと思わせてくれます。

同級生のガキ大将に意地悪されても気に留めないアオヤマくん、
甘いものを食べて脳を活性化させるアオヤマくん、
今はまだ夜遅くまでおきていられないが、いつか夜にも勉強してもっと賢くなろうと思っているアオヤマくん、
お姉さんに思いを寄せ、おっぱいに興味を示すアオヤマくん、
素敵です。


物語の本筋ですが、町中でたくさんのペンギンに出会うということからはじまり、ペンギンの謎の究明、住んでいる町のマップ作成、草原に現れた「海」の謎、お姉さんの秘密、そういったいくつかの研究を通して今起きている問題を解いていこうというSFミステリーです。
ペンギン・エネルギー…ネーミングは安易だけれどもなかなか面白い力でした。
ただ…最後の究明目前での友達のお父さん(大学教授)の態度がなんか気に入らないというか、あなたってそんな人だったのねと残念な気持ちでいっぱいでした。

草原の「海」や、海がないのに「海辺のカフェ」などなかなかアイテムの面白さは健在、以前のような読みづらい独特の文章はないものの癖のある語り口はところどころで見られ、なんだか安心してしまうのはまさに森見病ですね。
ほかにもアオヤマくんのお父さんかっこいいなとか、お姉さんの魅力だとかいろいろ素敵な部分はたくさんありますが、ぜひ読んでほほぅふむふむと楽しんでみてください。


小学生を主人公にした森見作品はどうなの?って思っていましたが、大成功!
またしてもおすすめの森見作品は?って聞かれたら悩んでしまう作品が生まれました。
でも、本を読みなれてない人や、小中学生に薦めるなら間違いなくこれですかね。


ふぅ…

うはぁ~、いい感じで読み終えました。
で、読んでいる最中なんとな~く頭をちらちらとよぎる映像があるけどなんだろうなぁ~って思っていたのですが、そのちらちらが判明!
そう、あのアオヤマくんはまさに前に連ドラ「エジソンの母」に出てきた主役の男の子です。
世間との付き合い方を知っているという点ではアオヤマくんは大人ですが、雰囲気はあの子だなと。
だからちらちら彼の顔が浮かんできたんだなと。
ふん、解決!