さらい屋五葉 1 (IKKI COMICS)/オノ ナツメ
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あらすじ

気弱ではずかしがり屋な性格が災いして浪人となり、田舎から江戸に出てきた秋津政之助は、ある日偶然出会った遊び人風の男・弥一に用心棒になるよう頼まれる。しかし、政が守るべき弥一こそ拐かしを生業とする賊「五葉」の一味であった。仕方なく五葉を手伝う政之助だったが、五葉の仕事や仲間と親しくなるに連れ、五葉の面々が抱える事情に関わってゆく事となり、人として成長を遂げていく。




剣の腕は立つけれど、人前では力が発揮できない頼りない侍が主人公。こういった設定はよくあるのかもしれませんが、正之助の場合はそれが貫き通されているから面白い。

少なくとも、1,2話後に覚醒することはありません。

そもそもこの物語はちゃんばらではないので刀を振り回す描写はありません。数少ない抜刀シーンも少ないコマで淡々と描かれるだけ。そこがとてもいい雰囲気を持っていて素敵です。


『さらい屋』(誘拐)の仕事が主になるのでそういった場面を重要視する必要性がないのかもしれません。

が、さらい屋の仕事をバンバンこなして天下の大悪党になることが大筋かというとそうではなく、大筋は弥一という謎多き男(もうひとりの主人公)の秘密といったところでしょうか。


とても静かな漫画です。

オノさんの作品は比較的静かなのですが、日本の陰の部分を描いたことでより静かな作品になっていると思います。

物語のスピードは淡々と綴っているようで遅め。だから単冊読みするとつまらないと感じてしまうかもしれません。物語の進む先も霧の中といった感じなので面白いのかどうか判断しかねる。

だから僕もなかなかこの漫画を紹介できなかったのですが…

この7巻、一気に物語が加速します。いろいろなものがつながり始める。だから先がいい意味で見えてきた。

そういった部分を含めて、この漫画は結果面白い(面白くなる)と思います。


う~ん、なんとなくこの漫画は全巻通してやっとひとつの作品になるという珍しい漫画のように思います。

大抵の漫画は正直完結しようがしまいがとりあえずその単行本内で起承転結、笑いどころ泣き所があればそれだけで楽しめる。でも、この漫画はそうもいえない。

伏線を張り続けることで物語を紡いできたような漫画ですからね。


だからこの漫画は完結してからレビューを書こうと思っていたのですが、どうやらアニメの方が漫画完結よりも先になりそうなのでちょっと急いで書きました。

ちょっとそのアニメについて。

オノさんのアニメ化はリスパラについで2作品目ですが…できればさらい屋五葉は本誌で終わりを迎えてからにして頂きたかった。

すごく楽しみではありますが…

まぁ1クールしかないようなので、完結するまで話が進まないだろうし、キリがいいところ(といってもそこが見つからないけれど)やオリジナルストーリーで終わらせるのでしょうけど。


僕の希望としては10巻くらいでストンとうまく落ちればいいなぁなんて…

なんとなくアニメ化という響きや7巻の展開からするともういつ終わってもおかしくない状況なのですが。



と、まぁなんだかんだで面白い漫画です!!と強く勧められるものではありませんが、スローテンポでじんわり漫画に触れられる数少ない漫画だと思います。


ふぅ…


それにしてもノイタミナ…


さらい屋五葉  (音声が出ます) と四畳半神話大系  (音声が出ます)を1時間枠で放送するとは…


僕をテレビ前に貼り付けさせるおつもりですか?( ´艸`)