
- こたつ (角川文庫)/原 宏一
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あらすじ
プロポーズした女性は、室町時代から500年以上続く「こたつ道」総本家の跡取り娘だった。当代家元が認めない相手とは結婚できないと言われたおれは、冗談半分で師範になると宣言してしまう。が、こたつ道侮るなかれ。入る前に他人の目前でもいったん全裸になる「序寒」にはじまり、足を抜くまで細かな所作が決められていた。
こたつ道の裏世界にも関わりを持ってしまう主人公がこたつ道を極めるまでを描くユーモア小説。
ほか、映画制作に翻弄される「町営ハリウッドムービー」を収録。
『こたつ道を極める』というこのキーワードに惹かれて手を伸ばしました。
後ろの解説にもありましたが、日本人は○○道という独自の文化がある。その文化は様々な所作、決まりごとで固められている。
そんな中でのこたつ道である。
正直狙いすぎている感じもするけど、その狙いすぎているものを貫き通している。だから初めはついていけない。
というよりもその世界に潜り込むのに必死になってしまいました。
現実世界での出来事なので逆に異端なものを飲み込むのが大変でした。
この小説は、その異彩な設定が主で、それに限ると言っても過言ではないかもしれません。
なんていうと偉そうですが、でもやっぱりこれはこたつ道とはなんぞや、を楽しむ小説なのではないかと。
本家と分家、新訳、お金稼ぎといった華道や茶道でもあるであろう確執や固執をこたつ道というユーモアな題材で表しているに過ぎない。
その設定、異端さの笑い、それらをいかに早く飲み込めるか、それでこの本を楽しめるかどうかが決まる気がします。
僕はもう少しで本を閉じるところでした。
ほかに「町営ハリウッドムービー」も収録されていますが、こちらはドタバタを基本としたコミカルなお話ですが、やっぱりこの世界観へ引っ張り込むために独特な説明調で話を作りこんでいます。映画を作る、町おこしをする、そういった裏の世界を短く集約するとこうなります、という感じ。
もしかしたらこっちは短編よりも長編向きじゃないかとも思いますが、話の落ちの付け方からすれば短編だから面白いと思えるかも。
どちらも独特な世界観ですので好き嫌いがはっきり分かれそうです。
浸温至緩 至緩浸悦 『温に浸りて緩に至る 緩に至りて悦に浸る』
「これぞ『呆』の極意であり、これを極めてはじめて『悦』、すなわり悦楽の境地に至れるというわけだ。」
「はあ」
ところで
[ イチゴとミカン、どっちが好き? ]
ですが、この『こたつ』のこたつ道の道具のひとつに「みかん」があります。
みかんを猫背で食べて脱する、これがこたつ道のひとつなのだそうな。
…まぁこたつ道はどうあれ、僕は…どちらも好きですが、よく食べるのはやっぱりみかんです。
我が家ではこの時期必ずみかんが置いてありますからね。
で、それを馬鹿みたいに僕はパクパク食べる。
一度に3個は序の口、それ以上は自制心との戦いである。
が、やっぱり好きなのでイチゴも食べる。
前にテレビでおいしいイチゴの食べ方♪といって、へたの方から食べる、というものがあった。なぜですかとアナウンサーが尋ねたところ、
先端の方が甘みが詰まっている、やっぱり最後すっぱいより甘い方がおいしく感じるからだと言う。
なんともいえない感情がこみ上げてきたが、以来僕はへたの方から食べるようにしています。
ふぅ…
ま、その前に我が家ではイチゴミルクにして食べるのが普通で、器に盛られたイチゴに牛乳と砂糖がかけられて出てきちゃうことの方が多いのだけれど。