
- マルコの夢 (集英社文庫)/栗田 有起
- ¥400
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あらすじ
大学を卒業するも就職が決まらずにいた一馬のもとへ姉からフランスへ渡ってこないかと電話が来る。特に断る理由も無い一馬はフランスへ行き、成り行きで三ツ星レストランのキノコの管理を任されることになる。ある日オーナーから日本で栽培される伝説のキノコ「マルコ」を調達するよう頼まれた。マルコはパリでもこの店でしか食べることの出来ない極上のキノコであり、その詳細は謎であった。マルコを求めて日本へ戻った一馬は次々と知ることの無かった真実をつきつけられる。
摩訶不思議なファンタジーの香りをつけた極上のキノコ(を巡る)物語。
ちょっとした時間に読めそうな軽い本を探していて出会ったのがこれです。
ページ数も少なく、文字数も少ないのでサクサクっと読めてしまいました。
その短い時間で繰り広げられるキノコ物語…絶妙であり奇妙です。
本筋としては一馬の成長物語…ということらしいのですが、僕としては彼の成長過程、成長度なんてものはどうでもよく、物語の後半はキノコの圧倒的な存在感に押しつぶされそうでした(^▽^;)
この作品のメインはマルコという食評論家が言葉を紡げないほどの極上なキノコであるが、その正体が判明したあたりからキノコの菌が常に降り注がれているかのように思うくらいキノコの気味の悪さ、ドギツサが伝わってきます。
キノコが好きな僕がこんななのだから、キノコが嫌いな人が読んだらもっと嫌いになるだろうなってくらい。
もっと素直な作品かと思っていましたが、後半は完全にファンタジーの世界です。
しかしものがキノコだからか妙な現実感もあり、独特の雰囲気のある作品でした。
一馬が日本へ戻ってきたときに異常に喉が渇くというシーンがあるのですが、最後までさっぱりわかりませんでした。体がフランスに馴染んでしまったとか、フランスが恋しいというような展開になるのかと思いきや、まさかの真実が(^▽^;)
一歩間違えたらオイオイと突っ込みたくなる設定ではありますが、なんとなく許してしまう部分があるから不思議です。むしろ巧い表現だったなと思えるくらい。
キノコがお好きな方、いつか三ツ星レストランのキノコ担当(そもそもこんな仕事実際にあるのでしょうか?)にない方、口ひげが自慢なマリオさんは読んでみたらいかがでしょうか?
[ きのこの山とたけのこの里、どっちが好き? ]
ところで、タイムリーのような、むりやりのようなこのネタ。
私はたけのこの里 派!