雷の季節の終わりに (角川ホラー文庫)/恒川 光太郎
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あらすじ

地図には載っていない別の世界『穏』。日本とつながるこの里は文明の発達がほとんどない静かな里である。この里には冬と春の間に雷の季節があるという。少年・賢也はある秘密を抱えながらこの里で穏やかに暮らしていたのだが、墓町の存在をきっかけに彼の運命は大きく転がり始めつ。外界との境界を守る闇番、空に棲む渡り鳥、雷の季節、、、この里にも子どもたちには知らされない恐ろしい秘密が隠されていた。

静かな世界に蔓延するおどろおどろしさを独特な世界観で描いたミステリーホラー小説。



夜市以来の恒川光太郎さんの作品です。

夜市の気持ちよいおどろおどろしさが忘れられずこちらにも手を伸ばしましたが、見事に物語の中へ引きずり込まれました。


僕はミステリー小説は…いつ何を読んだのが最後かわからないくらい読まないのですが、ホラー小説はひとつのミステリー小説なんだなと思いましたね。

しかしミステリーはきっとホラーで片付けてはいけない分野でしょうから、ホラーの中にミステリーはあっても、ミステリーの中にはホラーは存在しないのかもしれない。

そういった意味では面白みのある分野だなと思います。

ただ、やっぱり気持ちの悪い描写はあるし、血生臭い場面も多々登場しますが、それでも読み続けてしまう魅力がありました。


作品は<賢也>、<茜>、<ナギヒサ>、<トバムネキ>、それぞれの視点で描かれています。

各章で分かれており、ひとつの事件を多方向から攻めていく感じです。このあたりがミステリーっぽいと感じるところでしょうか。

後半は駆け足にすすんでしまった感じもしますが、真実を導いていく様子は心地よいものがあります。

姉や里の友人が消えた原因、賢也が移り住む経緯、里の中で伝説として語られる風わいわいや鬼衆の秘密。別々の秘密がひとつに繋がったとき、賢也の運命が定まる-



ふぅ…


これを購入するとき、レジの店員さんに「恒川さんの作品すきなのですか?」と聞かれました。

夜市しか読んだことはないけれどあの雰囲気は好きですと答えると満面の笑みがかえってきました。

ブックカバーを付ける間いろいろと話しをしましたが(彼女はブックカバーをつける手が止まっておりましたが)フレンドリーな店員さんに人見知りな僕はドキマギしてしまいました。でもやっぱり好きなものについて話すということは心地よいものです。


さてさて恒川作品に見事にはまった様子のあひるさん。さて今後、現在発行されている単行本が文庫化されるまで待つのか、あるいは図書館で済ましてしまうのか、もしくは単行本を買ってしまうのか…

とりあえず文庫本も読みたい作品がたまっておりますので、もしかしたら気がつけば秋の牢獄が文庫化されていたり…しませんかねぇ?