キノの旅〈10〉the Beautiful World (電撃文庫)/時雨沢 恵一
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あらすじ

キノはモトラド(注:二輪車)であるエルメスと共に旅をしている。訪れた国での滞在期間は常に3日間。その国を知るには丁度良く、それ以上は旅立ちづらくなってしまうから…

さまざまな国を知り、その国の状況を見守り、そしてまた旅立っていく1人と1台のファンタジー旅行記を淡々とした文章で描く。


『歌姫のいる国』

キノたちがその国に入ると、少女のきれいな歌声が聞こえてきた。オーディションで選ばれたその少女は、この国のスターなのだが、最近は新曲もファンの前へ現れることも減っていた。この国で必死に働く少年エリアスは、この少女の歌を聴くため、蓄音機を買うお金をためていたが、仕事を首になってしまう。そんなとき、サラという少女の誘拐を手伝ってくれれば相当の分け前を与えるという話に渋々のることにした。誘拐犯を殺すよう頼まれるキノと、エリアス、そして秘密を抱えるサラの結末は…。


収録作

口絵『ペットの国』 -apPETite-

口絵『ティーの願い』 -Get Real!-

プロローグ『在る男の旅・b』 -Life is a Journey,and Vice Versa・b-

『インタビューの国』 -Out of the Question-

『ホラ吹き達の話』 -Fantasy-

『保護の国』 -Meritocracy-

『電柱の国』 -Transmission-

『こんなところにある国』 -Preface-

『ティーの一日』 -a Day in the Girl's Life-

『歌姫のいる国』 -Unsung Divas-

エピローグ『在る男の旅・a』 -Life is a Journey,and Vice Versa・b-


キノの旅の10巻です。

歌姫のいる国は短い長編小説なら(変な日本語…)一冊分あるくらいのボリュームで、今のところキノの旅では最も長い話となっています。

ここまで長い作品になると、この物語に何かしら作者としての意味や目的を探ってしまいたくなりますが…もしかしたら単純に長い話を作りたいという思いだけで考えたものかもしれません。

そういう作者さんですから。。。

でも…なかなかいい作品だったとは思います。長い話だっただけにやりたいことを詰め込んだという感じは否めませんが、ほっこりと読めました。

キノ目線、エリアス目線を交互に変えながらも、キノが二人を追いかけるという場面がずっと続くのですが、それほどもたついた感じもなく、キノらしからぬ仕留め損ないも、キノの優しさゆえの失敗…だと思いたい。


今後、1冊分の物語も出てくるかもしれませんが、それでも案外キノの旅を満喫できるのかもしれません。



利益は正義を作り 正義は利益を生む

-How Much is Your Justice?-


ふぅ…

丁度10巻ということで、10間までの中で僕の好きな話BEST5を紹介。


1:自然保護の国 -Let It Be!- (9巻) 

  物語の構成、内容、国民の想いと旅人の想い、どれもいい。

2:優しい国 -Tommorow Never Comes.- (2巻) 

  これは好きな人は多いかもしれない名作。

3:コロシアム -Avengers- (1巻) 

  キノの戦い、シズとの出会い、キノの正義感、ボリューム満点の作品。

4:雲の中で -Blinder- (3巻)

  キノのちょっとした心の中が見れる作品でbパートはすばらしい。 

5:嘘つきたちの国 -Waiting For You- (7巻)

  世にも奇妙な物語っぽいオチだけど、そこがいい。

次点:英雄たちの国 -No Hero- (5巻)

  戦うキノが好きな人には欠かせない話。


さて、今後どのような国を旅するのか、まだまだ楽しみです♪