- キノの旅〈9〉the Beautiful World (電撃文庫)/時雨沢 恵一
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あらすじ
キノはモトラド(注:二輪車)であるエルメスと共に旅をしている。訪れた国での滞在期間は常に3日間。その国を知るには丁度良く、それ以上は旅立ちづらくなってしまうから…
さまざまな国を知り、その国の状況を見守り、そしてまた旅立っていく1人と1台のファンタジー旅行記を淡々とした文章で描く。
『自然保護の国』
黄色くてボロボロな小さい車に乗って師匠とハンサムな男が荒野を走っていると、信じられないほどの巨大樹がある国へたどり着いた。樹齢も分からないほどのその樹は、国の宝として大切に守られているが、所々腐りかけ、数年ももたないところまで来ていた。しかしその樹が倒れた後は新たな芽が生まれ、新たな樹が育つことだろうと師匠は気がついていた。
それから時がたち、師匠の話を聞いていたキノは、その国の樹がその後どうなったのか確かめてみることにしたのだが国には大きなドームがかけられていた。
収録作
口絵 『なってないひとたち』 -Traveler's Tale- (キノ・シズ・師匠の話)
口絵 『城壁の話』 -Sweet Home-
プロローグ 『悲しみの中で・b』 -Yearning・b-
『記録の国』 -His Record-
『いい人達の夕べ』 -Innocence- (師匠の話)
『作家の旅』 -Editor's Travels-
『電波の国』 -Not Guilty- (シズの話)
『日記の国』 -Historians-
『自然保護の国』 -Let It Be!- (師匠、キノの話)
『商人の国』 -Professionals-
『殺す国』 -Clearance- (師匠の話)
『続・戦車の国』 -Spirit-
『むかしの話』 -Tea Talks-
『説得力Ⅱ』 -Persuader Ⅱ- (キノと師匠の話)
エピローグ『悲しみの中で・a』 -Yearning・a-
キノの旅の9巻です。
14話収録ということで短い話がとんとんと進んでいきます。
短い話の割にはオチが皮肉めいていて楽しく読めました。
自然保護の国、商人の国、悲しみの中で、はなんだか落語を聴いているかのような話でした。
特に自然保護の国はキノの旅でもかなり好きな話になりましたね♪
師匠からキノへ続く話といのも話の形としては面白かったのですが、この国の人達の樹を守る姿勢というのがよかったですね。
壊れる、破壊するということが歴史の一歩とするのか、歴史の終着とするのか…
どちらも大切で、どちらも正しく思える。
ただ、希望の種まで終わらせてはならないのだけれど…
それにその国を見たキノの顔を思い浮かべると笑ってしまいます( ´艸`)
ただ、続・戦車の国は蛇足だったかなぁ。
何巻か前に戦車の話で登場した戦車が主役ともいえる話なのですが、あえて戦車のその後を描く必要はなかったんじゃないかと…
面白くないというわけでもないのですが、前回のまま終わったほうがピリッとしたような気がします。
なんて。
あなたのその悲しみは やがてあなたになる
-Do You Love You?-
ふぅ…
・・・・・・Do you love you?
この問いの先を僕はいつか答えられるだろうか。