夏目友人帳 (1) (花とゆめCOMICS (2842))/緑川 ゆき
¥410
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夏目友人帳 1 (通常盤)
¥5,008


あらすじ

小さいころから妖怪が見えていた貴志。あるとき彼は祖母の遺品から「友人帳」を見つけた。これは彼の祖母である夏目レイコも霊力が強かったようで、その力で妖怪を負かし、名を奪った契約書であった。名を返してもらおうと夏目が妖怪たちに追われているときに結界を誤って破ってしまったことからニャンコ先生の封印を解いてしまった。この日から「友人帳」のために用心棒をかってでたニャンコ先生と、妖怪の名を返そうと奮闘する夏目の日々を送りはじめる。



この作品は、基本的に1話完結の物語で、そのときどきによって妖怪とのふれあいを描いたやさしい作品です。

僕はこれをアニメから知って、第一期が終わったときに一気に大人買いしてしまいました。

漫画の絵のタッチは見事に少女マンガだったので、一瞬敬遠してしまいましたが…アニメのときに感じた雰囲気はあったので、現在も新刊を待っている状態です。


生まれてすぐに両親を亡くしていた彼は妖怪が見えてしまうせいで不思議な行動をとることが多く、親戚をたらいまわしにあっていたという暗い過去が常に夏目の背後にはあり、人付き合いも一歩下がって付き合うようになっています。

その距離感が沁みるといいますか、徐々に心を通わそうとしながらも、やっぱり密になりきれていないというその気持ちの壁が夏目の秘めたる部分を強調していていいです。


ここに出てくる物語はどれもぐっと来ます!

その中でも好きなのは僕の好きな話は(原作にはサブタイが無いので、アニメのサブタイになります)、


露神の祠

妖怪が人に好奇心を抱く、好意を抱く、またその逆も然り…というのはこの作品ではよく出てくる話なのですが、どれも素敵な話です。その中でも、この話は、ラストのほうで出てくる言葉がとてもよかったです。

「けれど、一度愛してしまえば、愛されてしまえば、もう忘れることなんてできないんだ-」


雛、孵る

これは、たったひとつ残った卵を育ていたら妖怪が産まれたというものなのですが、純粋に話が面白かったということもあるのですが、卵が割れたときに、成熟するまでは目の前にいたものに似た姿で産まれ成長するという特性があります。その理由が、育ててくれる人に愛されたいからではないか…というその設定がよかったです。


約束の樹

オリジナルアニメのようです。レイコに名を取られ、友人帳に書かれた紙を木の枝につるされた妖怪は、決して取ってはいけないと釘を刺された。それから50年が経ち、名を返してほしいと頼むのだけれど、その木が見当たらない。必死に探し見つけたものは、紙だけではなく、レイコからも贈り物あったという話です。あぁ、いい話だ、そう思えずにはいられない作品です。アニメでしかないのが惜しいくらい。



この作品の妖怪はどれも魅力的なんですよ。

かっこいいとか、かわいいとか、そういうフォルムとしての魅力もあるのですが、妖怪が人に触れるという部分がとてもいいんです。人に対して悪さをする妖怪もいる。けれど人と触れ合いたいという妖怪もこの世界には存在し、その描き方がいいのです。

きっかけは大抵人間に優しくされたということなのですが、その優しさに妖怪も答えてくれたというところが素敵です。

友人帳という妖怪を手懐ける武器があるにもかかわらず、それを良しとせず、妖怪を使ってバンバン悪を切り倒す!!なんて作品にならないのがこの漫画の良さなんですよね♪そういう背景があるだけに、たまに夏目を想う妖怪が助けてくれるという描写がとてもかっこよく見えるんですよね。


物語が進むと、妖怪よりも人のほうが恐ろしいという話が出てきます。人と妖怪、それぞれの声が聞こえる夏目がどのように妖怪と触れ合うのか楽しみな作品です。



妖怪を、人間を、やわらかく受けとめよう。どちらも正しいものに思えるのだから。



ふぅ…

なんでアニメのDVDってあんなに高いのだろうか。

絶対に手が出せない領域なんですけど…