何時が好き? ブログネタ:何時が好き? 参加中

[ 何時が好き? ]

アメリカの芸大に通っていた玲雄はそのまま大学院へ進むことにしたのだが、休みを利用して父親とハワイ島・ホノカアを訪れたことにより彼の人生にひとつの物語が生まれた。偶然出会ったニックさんの紹介でホノカアにある映画館で映写技師として働くことになったのだ。
料理を食べさせてくれる87歳のガールフレンド・ビーさんや、ホノカアに住む人たちの優しさに包まれて、彼は貴重でステキな3ヶ月を過ごすことにした。


僕は背景を知らないので、この物語は半自伝的小説なのか、あるいは完全に物語なのか、エッセイなのかわかりません。なので、ジャンルとしてはホノカア物語・・・と。
が、以前深夜でやっていた映画のPRを見ると、実在した方々をもとに描かれているようなので、半自伝的なものなのかもしれません。

どちらにせよ、ハワイの風景描写や人々の小さな仕草、言葉遣いはとても親密感があり、一度も訪れていない僕でも、いや、一度も訪れていない僕はこの地へ行きたいと思わせる作品でした。
ハワイやグアムよりもヨーロッパやカナダのような地に憧れていた僕がこう思えるくらい。

物語は玲雄がホノカアシアターの映写技師として働く芸大生ということで、昔の映画の作品や俳優さんの名前がよく出てきます。くやしいかな僕がわかったのはその中のほんの一部でした。ハワイの地理もさっぱりだったことも、細かく描写されている風景がどうも偏ってしまったことも残念。
知識がないことがこんなにももったいないことかと改めて思いました。

それでも玲雄の持つ雰囲気(元気で社交的)や、ビーさんたちのとの会話はのほほんとしながらピリリと山椒が効いたような部分もあって楽しく読めました。
毎日の出来事を大事に追うかのような描き方にこのホノカアの良さが隠し切れない、そんな感じでした。

なんかああいう生活っていいなぁ…
毎朝海へ泳ぎに行って、映画に触れて、温かい人たちに包まれて…
それにしてもハワイってどこまで日本語が通じるのだろうか。
ハーアーユー?アイム ファイン センキュー。シッダンプリーズ。でも生きていけるのでしょうか?

そしてこの本を3分の2くらいまで読んで、映画も見てきました。
映画の様子がどうも本の様子と違うようだということはホームページを見て知っていたので、映画が始まっても「え?」みたいなことは少なかったです。
けど、玲雄が芸大生であることと、映写技師として働く様子をもっとメインにおいた作品であってほしかったかもしれません。まぁ、他作品の映画の話ばかりする映画って難しいのかもしれませんが。

物語は大きく変わってしまいますが…それでも物語の雰囲気はちゃんと残っていたし、ビーさんの手料理を壁やドアに貼っていく様子はとてもよかったし、ちょいちょい組まれている小さな笑いは僕の中ではつぼでした。
岡田将生くんも、倍賞さんも、小説の雰囲気にぴったりだったことも好感。
というか、あのふたり以外考えられませんってくらいぴったりだったように思います。

この作品はどこか「かもめ食堂」や「めがね」に属する雰囲気を持っています。その2作品には少し及ばないものの(もう少し食事シーンが欲しかったかも)、どこかいい匂いのする作品でした。


ふぅ…
夜映画を見たのですが、やっぱり映画はお昼に見たほうがいい気がします。
そうですねぇ、僕が『好きな時間』は11時過ぎくらいからのお昼をまたぐ時間帯か、もしくは見終わりが4時ちょっとすぎくらいになる時間帯かな。
1時過ぎくらいに映画館を出たときの街のほのぼのとした感じが、見た映画の余韻をぎゅうっと心にしまい込むような気がして好きです。
夜映画は安いですが、映画館を出たときに街が少しずつ静かになっていくその瞬間に出くわしてしまったようで、せっかくの映画が悲しくなってしまう気がします。
ましてや、ホノカアボーイのような作品は、外に出たときに太陽があったほうがお似合いです。