夜市 (角川ホラー文庫)/恒川 光太郎
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あらすじ

「夜市」

望むものが手に入る不思議な市場『夜市』。さまざまな世界からつながるこの市場に裕司は小学生のころ一度弟と訪れ、当時まったくお金を持っていなかった裕司は弟と引き換えに「野球の才能」を買っていた。しかし裕司は弟を救うために再びここを訪れたのだった。


「風の古道」

日本中に延びている『古道』。ここは現実世界とつながりながらも隔離された道である。現実世界のものは持ち込めても古道のものは持っていけない特別な世界。ここに入り込んだ男の子とカズキは入ったはいいが出られなくなってしまったのだが、レンという旅人に救われ現実世界に戻ろうとしたとき、レンを恨むコモリという男にカズキはは殺されてしまった。古道を進むと死者を生き返らせる寺があるというのだが…



先に読んだ「押入れのちよ」がちょっとおどろおどろしいイメージが強すぎて、ふんわりとしたホラーが読みたいと思ったので(お前ホラー読むな!!っていわれそうですが…)探してみたのがこの作品でした。

ホラーに加えてファンタジー色もある作品ですので、優しく読めました。


表題作の「夜市」は短いながらも一転二転するのですが、忙しすぎないのでテンポがよくてぐいぐいと引き込まれてしまいました。

どことなく展開としては読めるなぁ、と思っていたのが間違い。なるほど…こりゃグッと引き込まれるわけだ。


それから続けて収録されている「風の古道」ですが、世界観としてはこちらの方が面白かなぁ。

現実世界につながる別世界。現実世界のものは持ってこれるが、この世界のものは持っていくことができない…

この設定こそが風の古道の核でしたね。


どちらの作品も文章や構成の中にぞくっとするような感じはほとんどないのですが、ホラーの雰囲気を味わえます。感覚的には…鬼太郎?でしょうか。あ、墓場の方じゃなくて、ゲゲゲの方です。


ちなみに、これは日本ホラー小説大賞受賞作だそうな。


ふぅ…

最近単行本の方に読みたい作品が多いです。

森見さんの「美女と竹林」「きつねのはなし」

同作品の作者である恒川さんの「雷の季節の終わりに」

恩田陸さんの「ブラザー・サンシスター・ムーン」

等々…

でも単行本は高いし…図書館利用しようかなぁ…

いやいや、それ以前にかさばるから持ち運びが…

まぁ…まだ文庫化されたもので読みたい本がいくつかあるから、この悩みは温めておこう。