キノの旅-The beautiful would   著:時雨沢 恵一
キノの旅―The beautiful world (電撃文庫 (0461))/時雨沢 恵一
¥557
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あらすじ

キノはモトラド(注:二輪車)であるエルメスと共に旅をしている。訪れた国での滞在期間は常に3日間。その国を知るには丁度良く、それ以上は旅立ちづらくなってしまうから…

さまざまな国を知り、その国の状況を見守り、そしてまた旅立っていく1人と1台のファンタジー旅行記を淡々とした文章で描く。


収録作

プロローグ『森の中で・b』

『人の痛みが分かる国』

『多数決の国』

『レールの上の三人の男』

『コロシアム』  (シズ初登場)

『大人の国』

『平和な国』

エピローグ『森の中で・a』



これはジャンルとしては寓話集です。道徳や宗教などを物語の核において、ときに人の残虐さを、あるいは人の哀しみを体験していく。

各国によって国のあり方は違う。科学が発展している国、戦いこそが生活の恵みとなっている国、しかしどれもあまりにそのあり方を追求してしまったが為に溺れてしまう人の哀しさが描かれており、キノとエルメスはその国々を第三者として傍観し、ときに関わり国を見ていきます。

淡々とした会話や風景描写はその国と一歩引いて関わる旅人の雰囲気をよく表していると思います。


久々にシリーズものに手を出しました(厳密に言うと、光の帝国もシリーズものなのですが…)。

もう既に12巻も出ているようで、どれもキノとエルメスが旅をし、各国の大きく膨れ上がった社会を見ていくようです。

これを購入する前は、寅さんや山下清が町へ訪れてはそこで物語の主となり軸となり話を展開していくようなロードムービーものかと思っていましたが、それとはまったく違う世界でした。でもこれはこれでありかなと思います。

キノはその国の滞在期間は三日間と決めており、それは国の様子を知るには丁度良く、それ以上では離れがたくなってしまうからだそうで、そういった設定だからこその傍観者としてのかかわり方がこの作品の良さだと思います。


今のところ、作品のオチとしては人間の残念な部分が浮き彫りになっているものが多く、どことなく世にも奇妙な物語や、笑うセールスマンの世界観に近い気がします。

文章の穏やかさと、キノの描写(イラスト)のおかげで暗さは感じませんが、その国の哀しさ、虚しさががっつり描かれています。


けど僕はこの作品の雰囲気好きです。

人や国の悲しみを描いてはいるものの、キノの心情や、エルメスとのほのぼのとしたやり取りがいい雰囲気を出しているのかもしれません。

キノは強く、銃の腕前も達者であるため、時折行われる戦闘シーン(『コロシアム』では特に)もかっこいいですし…もう少し読んでいきたいとそう思える作品でした。


世界は美しくなんかない。そしてそれ故に美しい。



ライトノベルというジャンルを読んだのはこれが初めて。

どうやらこのライトノベルは中高生をターゲットとした小説のようで、内容も漫画的要素があったり、イラストが必ずついていたりします。

文章も難しくない(などというと中高生に怒られそうですが)ので読みやすい。

そもそも僕は文章が易しいものだからといって小説のレベルが下がるとは思っていなく、簡易な表現で世界がつくれるのならそれはそれでいいと思っています。現に最近は児童文学をよく読んでいる…というか良く考えてみれば難しい本を読んだことなんてないんじゃ…

ライトノベルって僕が中学生の頃からあった気がします。でもその時から表紙が漫画絵の小説なんてかっこ悪い!なんて思っていた気がして敬遠していた気がしますが…中には面白い作品があるんですねぇ。

設定さえぴったり合えば面白いジャンルかもしれません。

少なくとも僕はもう少しこのライトノベルという世界を探ってみようかと思います。


ふぅ…

今日は寒かったですねぇ~。

手をグーにしたら二度と開けないんじゃないかというほど寒かったです。

どうやら東京でも初雪を観測した所があるとか。

そういえばこの冬は全然雪が降らないなぁ。

いやまぁがっつり降られても困っちゃいますがね。