シュガータイム 小川洋子
- シュガータイム (中公文庫)/小川 洋子
- ¥520
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あらすじ
いつしか「かおる」は胃に食べ物を流し込むように入れるようになった。そしてその異常を、日記をつけることで解決しようとし始めたのだ。春の訪れとともにはじまり、秋の淡い陽射しの中で終わった、彼女たちのシュガータイム。青春最後の日々を流れる透明な時間を描いた長編小説。
この物語はつい食べ物を胃に入れてしまう女性が主人公です。彼女のその異常な食欲は、
フレンチトースト4切れ(シナモンをかけすぎた)
セロリのサラダ 醤油ドレッシング
ほうれん草のココット
ハーブティー(口に残ったシナモンの香りを消すために)
草加せんべい5枚(ハーブの匂いを消すために)
納豆と胡麻のスパゲッティー
ドーナツ7個
キムチ150グラムくらい(ドーナツが甘すぎて胸焼けしたから)
フランスパン1本(口の中がひりひりしたから)
ハヤシライス2杯
フライドチキン8本
ソルトクラッカー1箱
あんずジャム1口
を一日に食べ終えるものである。これを毎日のように続けるのは、女子大生の食欲としては異常なのかもしれない。ただ、ここでは「過食症」というような確立された異常としては描かれていない。
異常であることを本人は気づいているのだが、生活に支障をきたしているわけではない。ただ、気がつけば食べているだけなのだから…
この異常な食欲と、彼女の彼氏「吉田さん」との恋、身体に障害を持っている弟との生活などを通して彼女の青春時代が過ぎていくのですが、この物語は異常な食欲にウエイトをしめている。しかし、異常な食欲はエッセンスであり、主となるものは彼女の青春生活なのだ。
が、小川さんの描く食べ物の描写は非常に綺麗で、読んでいるだけで食べたくなるような、むしろ食べ過ぎて胃がもたれるような気がしてくるほど鮮明に描かれている。
「ノートの中のドーナツという文字は、鮮やかで生々しく刺激的だった。文字を見ていると、表面が油でしっとりと潤んでいる様子、指先についてくる粉砂糖の感触、生地の空気穴の繊細な模様などを、はっきりと思い描くことができた」
実においしそうでしょ?読んでいてドーナツが食べたくなるようでもあります。
以前、小川さんの別の作品を読んだときも書きましたが、彼女の書く風景や物質の描写はとても美しくリアルである。清清しさ、痛み、暖かさ、重さ、どれも思い描くことができる。
だからその世界に静かに入り込み、かおるが感じる世界を同じように感じることができる、そんな気すらします。
なんだか食べ物のイメージが強すぎて、彼女と吉田さんの生活よりもサンシャイン・マーケットで買った食べ物をむさぼるように食べる姿の方が印象的でしたが、これはこれでありな青春小説なのかもしれません。
ふぅ…
新しく本を買いました。PS.アイラブユーという小説です。映画にもなった海外小説です。僕のセレクトとしては珍しく純粋な恋愛小説のようです。
が…これ…涙ものなのでしょうか?少なくとも映画のCMはお涙頂戴的な感じでした。
だとしたら電車の中では読めない。だって泣いちゃっちゃ恥ずかしいもの。
ってことは家で読むしか…
そんな時間がないんですが!!!
でも映画よりも先に小説を読んでみたいと思ったんですよねぇ。どうしても映画見ちゃうと本を読む気にはならないので…
来年に回してしまいそうです。
・・・・・じゃぁなぜ今買った!!!???