
[ 月と太陽、どっちが好き? ]
京大5回生の私は、3回生のときに水尾さんという彼女がいた。そう、今は別れてしまった。あろうことか彼女はこの私を振ったのである。私はなぜ彼女が私を振ったのか、彼女を観察し、研究して240枚のレポートを書き上げたがまだ研究は続いている。
彼女を観察すれば他の男に注意され、クリスマスが近づけば町で騒ぎを起こす計画をたてる。
失恋した男の妄想力と観察力が暴発するファンタジー。
またもや森見さんの作品を読みました。
完全に森見登美彦ジャンキーですね(^▽^;)
そして、またもやむんむんとする男汁を流す男の子が登場。話を聞けば彼は研究というストーキング行為を行っていると言うじゃないですか。なんとも哀れな、しかし、どこか応援したくなるような魅力を秘めていました。
けれど、今回の作品にはそれほど物語に引きづり込まれる感じはしなかったかな。
多分ですが、この作品には他にも3人の男汁むんむんな登場人物がいるのですが、彼らの個性を引き出そうとしたために、話の腰を折られてしまったような気がします。
例えば『夜は~』でも多くの登場人物が出てきますが、彼らは謎に包まれた人ばかり。
『四畳半~』では登場人物がコンパクトにまとめられていました。
それらに比べると、この作品は少し欲張った気がしたかな・・・と、勝手に思っております。
しかし物語は淡々としながら、個性ある登場人物がそれをゴロゴロと音を立てて転がし、面白く読めました。
登場人物の個性と同じくらいの個性的なアイテムが登場したことで話がまとまった気もします。
う~ん、そうですねぇ…そう、大学物語としての魅力は十分ありました♪
それから森見さん独特の文体は初期の作品から出来ていたのですね。
何かしらの点で、彼らは根本的に間違っている。
なぜなら、私が間違っているはずがないからだ。
こんなことを言っちゃう主人公、頭が下がります。
ふぅ…
ということで、僕の好みとしては、『太陽の塔』よりも月夜が似合う『夜は短し歩けよ乙女』の方が好きだと言うことで。といっても、太陽の塔の方もギラギラの太陽が似合うってものではないんですけどね(^▽^;)
ちなみに、太陽の塔はあの太陽の塔でございます。