春のオルガン 著:湯本香樹実
- 春のオルガン (新潮文庫 ゆ 6-3)/湯本 香樹実
- ¥420
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あらすじ
小学校を卒業した春休み、トモミはすっきりとしない時間をすごしていた。
大人たちは隣人とぎくしゃくとした関係を続けていた。
そんなやりきれない時間を共にすごしたのは、弟のテツと、河原のノラ猫に餌を与えるおばさんだった。
そしてある日、トモミはテツは決めた。ガラクタ置き場の古いバスに住むことを。
彼女の揺れ動く心を繊細にとらえた作品です。
この作品にも湯本さんの描く「少年・少女」と「おじいさん」それから「死」を読むことができます。
寡黙ではあるけれど、しっかりと自分の信念を持っているおじいさん。
そして、今回の死はノラ猫たちの死…
トモミの小学校卒業したときの春休みというなんとも言えない不思議な『身分』であるが故の居所の無さがこの作品の雰囲気を支えているような気がしました。
夏の庭のような活発さや、ポプラの秋のような丸さは無く、ストーリーとしても先の2作に比べたら淡々と進んでいくかのような展開です。そういった点では西日の町の雰囲気に似ているかもしれません。
けれど、淡々と進みながらも、耳元では音楽がゆっくりと流れているかのようなやさしさを含んでいるかのようです。
号泣した!!っていうような作品ではありませんが、いい意味でふわっとした感じの作品です。
今回の作品…とは直接関係は無いのですが、この文庫本に参加した角田光代さんの解説が良かったです。
僕が良かったですなんていうのもおこがましい話ではありますが、なんというのでしょうか…そう、読書感想文のお手本といってもいいような解説でした。(というか作家さんの解説を読書感想文と一緒にするのも問題発言でしょうが…)
解説では小説作家さん、エッセイスト、女優さんなどなど様々な人たちが参加しますが、今まで読んできた本の解説の中で一番読み応えのあるものでした。
本を読むとはこういうことか、と感じさせるような解説は、夏休みの読書感想文の書き方に悩む中高生にはぴったりじゃないかと、夏休みが終わったであろうこの時期に言ってみます。
こんな風に僕も作品解説をしてみたいものですが、やっぱり難しいですね。
本を読むのは好きでしたし、読書感想文を書くことも嫌いではありませでしたが、どうしてもあらすじ解説や過去との比較になってしまうんですよね。
角田さんの作品は読んだことは無いのですが、少しこんなところから興味を抱き始めました。
ふぅ…
昨日から24時間テレビがやっているようですね。地方テレビ局では募金を呼びかけるCMが流れ、とたんにローカルっぽさが出るあの感じが好きでした。サントムーンやイトーヨーカドーの募金会場の映像が流れたりして。
それから、明け方に流れている地方のお天気カメラの映像も好きです。
静岡市の夜の道に、信号機と時折通る車のライトがゆったりとした音楽に乗って動いているのを見ているのが好きでした。
面白みの無い映像ですが、妙に落ち着く、一歩間違えれば見入ってしまうほどの不思議な映像です。