先ほど岩岡ヒサエ作品を紹介しましたが、もう少し書いてみようかと。


岩岡作品の好きなところは、絵がやさしいところ。

人物の顔はまるく、目は離れていて小さい。それがどんなにつらい話だって柔らかく包み込むようになるし、いたって普通の世界も楽しいものになる。

それから建物の描き方が好きです。にゅ~っと伸びるように建つ建物は、漫画的でありながらどこか懐かしさのようなものがあり、見ていてホッとします。


それから、どの作品もふわっと笑える場所が組み込まれているのですが、この笑いに気がつくかどうか、それが面白いと思えるかどうかで、これらの作品をもっと読みたいかどうかが分かれるかと思います。

ガツガツと笑いをとりにいく訳ではないけれど、笑っていただけたら…という感じが伝わってくる、そんな感じです。

う~ん…そう、感覚で言ったら『あたしンち』の笑いに近いかな?ちょっとした行動、ちょっとした会話、ちょっとした反応が笑いに変わるというのかな。

僕はそのツボにはまってしまいました。


人の優しい部分、つらい部分、悲しい部分、それらをきれいに描いてある漫画が多い気がします。


さて、まずは『花ボーロ』 岩岡ヒサエ

花ボーロ (IKKI COMICS)/岩岡 ヒサエ
¥650
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あらすじ

学校を舞台とした10作の短編作品。

先生が笑う、生徒が笑う、友人が笑う。そりゃ悩みだってあるけれど、ひとつひとつ解決していけばこうして笑うことが出来るのだから。

じんわりとやさしいやわらか物語。


僕は全10篇からひとつあげるなら「坂の上」が好きです。

おじいさん先生が子ども達と坂の上の駄菓子屋へ行くことにした。その駄菓子屋は昔の大事な思い出がある場所なのだ。

という話なのですが、まず先生の雰囲気がいい。親しみやすい感じが体全体からにじみ出ています。

お話もほっこりしていて、一気にやさしくなる。20年後に提出する宿題(駄菓子屋の感想)、なんだか生徒さんたちがうらやましいです。



そしてこの花ボーロのなかにある「オトノハコ」がとび出して1冊の物語となったのが


オトノハコ』 岩岡ヒサエ

(KCDX KISS) \619(税別)


…∑ヾ( ̄0 ̄;ノ少女漫画の雑誌から出てたんだ…知らなかった。


あらすじ

声が変だと言われ、歌うことに抵抗のあった田辺キミ。しかし、2人という少人数の合唱を聴いて、一緒に歌いたいと思うようになる。たった6人の合唱部だけど、みんなの思いは大きく力強い。声や恋に悩みながらの彼女達弱小合唱部はコンクール予選を通過できるのでしょうか。


花ボーロのときの主人公は、同じ時期に入部した詔子でしたが、今回はキミ。どちらも合唱部に対しては積極的ではなかったのですが、力強い部長(独裁者 笑)に引っ張られるように入部。なんだか微笑ましい感じです。

物語り全体も自然と顔がほころんでいくような感じです。合唱部って弱いところはほんとに弱くて、合唱部があったのかどうかも分からないところって結構あるんですよね(^▽^;)

僕の学校にもあったようですが、途中まで全然知りませんでした。友達が合唱部に入っているということを聞いて存在を知ったくらいですから。

どうやらどれだけ部活に力を入れるかどうかにかかってくるようですね。


でも案外少数による部活動っていいもんですよね。僕も高校ではそれほど多くない人数で活動してきましたが、楽しいことも嫌な事も、部員全員で感じられるところが良かったかな。

そんな少し前のことを思い出してより親身になって読んでしまいました。

ちょっとココロの色が悪いときに読むとパステルカラーのいい色に戻る、そんな作品です。


ふぅ…

あ、もうこんな時間だ。

まぁ大変!