
正確に言うと、『コンビニ』という舞台をもとにショートストーリーが展開していくふたつの作品を読みました。
まずは
漫画 『ゆめの底』 岩岡ヒサエ
- ゆめの底/岩岡 ヒサエ
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僕は岩岡作品が好きで他の作品もいくつか持っていますが、これは読んだことがなかったのです。
が、先日、ふと本屋をうろちょろし、ふと手を伸ばし、すらっと読んでしまいました。
あらすじ
ひとりの女の子は不思議なコンビニに辿り着きました。そこで働いているのは犬の店長ただひとり(一匹?)。そこで売っているものはジュースやお菓子。そこで預かっているものは色んなココロ、大事な気持ち。
コンビニに集まるものたちは、それぞれの進む道を探していきます。大事な気持ちとともに。
岩岡作品の特徴でもある、人の苦しい部分、切ない部分を和らげて伝えてくれる作品です。
どこか暗い、寂しい作品ですが、店長の性格、女の子とのやり取りなんかはクスッと笑わせてくれるところもあり、ズッシリとした嫌な感じはありません。
絵も内容も笑いも独特ですが、しっとりと読める作品です。一冊完結(?)の作品なので、ふわっと読むにはちょうどいいですしね。ほら、『ONE PIECE』とか『ハチクロ』とかだと、読み始めたら止まらない、危険な始まりとなってしまいますから(T▽T;)
目が覚めるその時まで
とりあえず今は 目に入ることを見ていこう
そして
『コンビニたそがれ堂』 村山早紀
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あらすじ
駅前商店街のはずれの赤い鳥居が並んでいるあたりに不思議なコンビニが現れます。その名もコンビニ「たそがれ堂」。
大事な探し物がある人は、必ずそこで見つけられるという不思議なコンビニ。
おいしいお稲荷さんと、おでんが自慢のコンビニ。
どこか不思議な感じのお兄さんが働くコンビニ。
あなたは今、どうしても見つけたい、大切なものはありますか?
これはもともとは児童書…というか文庫本版も完全に児童書です。
タイトルのみに魅かれて手にし、内容や文章などを読まずに購入したので、1ページ読んだときに「あ…」と少々戸惑いました。
というのも、児童書は大人が読んでも面白い作品はいっぱいあるけれど、文章自体に独特の癖と言いますか、小学校の教科書を読んでいるかのようなものがたまにあります。
これがその文体だったのです。
読みにくさというものは無いのですが、どこか表現が優しすぎたり、必要以上に丁寧すぎる文章は読んでいて気持ちがのっていかないときがたまにあります。
今回もそんな感じなのかなという思いがよぎり、これはそっと本棚にしまっておこうかなぁと思いつつ、とりあえず1話だけ読もうと決心。
ショートストーリーの上、優しい言葉の連続なのであっという間にひとつめの物語を読み終え、なんとなぁくふたつめに取り掛かり、気がついたら5つのお話全て読み終えてました。
最後まで丁寧な文章を前に、小1の国語の教科書を読んでいるような感覚でしたが、お話の内容はどれもやわらかくやさしいもので、すっきりと読めました。
マシュマロのような優しさを求めている人は手にしてみても良いかもしれません。
僕はマシュマロの甘さと優しさにやられ、危うく涙を流してしまいそうでした。
どちらもコンビニという舞台をもとに、そこに訪れる人々の負の部分、弱い部分をコンビニが補ってくれるという感じで話が作られています。
コンビニの「便利な~」という意味がついに人の心を癒すというものにまで登りつめたんですねぇ。コンビニ恐るべし。
ゆめの底は設定上、暗く切ない話が多く、たそがれ堂はパステルカラーで淡々と話が進んでいく感じです。
僕はゆめの底の方が面白かったけれど、たそがれ堂の方が泣けました。
というかたそがれ堂の話はある意味卑怯な(泣かせるための)話ではあるのですが…
ふぅ…
雨がしとしと降り続く日にはゆっくり本を読んでみるのもいいかもしれませんよ。
小説、エッセイ、漫画などなど、面白い作品は多々ありますから、いくら雨が長く降り続けようと読む本がなくなることはまずありませんしね。
( ̄□ ̄;)その前にゆっくりと読む時間の方が無い!!