桃李への小道~OJT③<“On the Job Training”> | チームスキル研究所のブログ

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チームスキルとはメンバーとチームが、最高のパフォーマンスと、更なる成長に向け、変化し続けるために必要なスキルの総称です。

 大学院生の頃、女子大に測定装置を借りて実験しに行きました。その頃は、男性ばかりの男女共学の大学に通っていたので、訪問した時に異空間を感じました。測定装置の前に座ると、講座の教授が丁寧に指導してくれます。

「まず、このスイッチを左手で押す」

「次にこのディスプレイをこの角度で眺めながら、右手でジョイスティックをこう動かす」

「そうその感じ、もうちょっと姿勢をこっち向きに」

「じゃあスタートボタン押して」



 大学の先生に、ここまで手とり足とり動作のOJTをされたのが初めてだったのでたじろいでしまいました。女子大の教え方は、私には不向きと思い、大学に帰ってから助教授にぐちった記憶があります。もっと測定装置の理論やしくみを当時は、教えて欲しかったのだと思います。

 会社に入ってから、一番教えてもらって良かったと思うOJTは、仕事の進め方でした。仕事のプロセスとも言い換えることができます。それは、他社と部品でコラボする時の、2社購買で選択する方式。


 その頃は、開発部門にいたので、開発要素を含む部品を手に入れる必要がありました。そこで、ライバル2社の研究所にコンタクトし、仕様を伝え、試作品を納品してもらいこちらで測定してフィードバックし、また試作品を作ってもらうという繰り返しで、望みの部品を手に入れるというプロセスです。他社との付き合いも含め、カバン持ちで上司と一緒に他社訪問することで多くのことを学びました。

 最後のOJTは、「教えていただいて有難うございます」と突然感謝された自分がやったOJT。それは、働くスタンスとか働く価値観と言われるOJT。


 O課長が異動してやってきました。私は直接の上司では、ありませんでしたので、O課長の愚痴を聞いていました。その時彼が「これは、前の課長がやった仕事なので、僕が原因ではありません。どうして私が文句言われて処理しないといけないのでしょうか」と言ったので、「いや、その仕事が、たとえ前の課長がやったこととはいえ、今はあなたがそのポジション。そのポジションとして仕事を受けているのだから、あなたに責任があるのだと思うよ。」と言ったところ、突然「有難うございました」と言われてしまいました。彼のどこに響いたのか、今でも不明ですが、これは明らかに仕事のスタンスのOJTです。


 OJTと一口に言っても、行動から仕事の進め方、仕事の価値観に至るまで様々です。行動のOJTもTPOによっては必要ですし、否定している訳ではありません。上手いタイミングを見つけて部下にも上司にもウィンになるOJTを行いたいものです。(日日草)