チームスキル研究所のブログ

チームスキルとはメンバーとチームが、最高のパフォーマンスと、更なる成長に向け、変化し続けるために必要なスキルの総称です。


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 Harvard Business Review(2016年7-8月号)でHolacracyが取り上げられました。果たしてこれが次世代の自律型組織かどうかという議論がForbesでも何度か取り上げられています。

 変化と不確実性を自在に操るための組織形態の模索は1980年代から始まっています。これまでソフトの世界では、最終目標ではなく反復的で漸進的に開発を進めるアジャイルの一種であるスクラムが、自律的組織形態として度々引用されてきました。

 このアジャイル開発の思想に加え、日本人にはおなじみのトヨタ生産方式から発展したリーン生産方式の思想を根底にもち、更に一歩も二歩も踏み込んだ自律型組織運営がholacracyです。靴のネット販売のZappos、Airbnbなどが導入しています。

 では何故議論を呼んでいるのでしょうか? 一つには導入した企業の高い離職率が挙げられます。Zapposでは入社時に4週間の研修が行われます。研修後、退職パッケージを提示され肌に合わない場合には辞める権利が付与されています。また、研修中にholacracyに必要不可欠な会議のファシリテーターに認定される社員は1/3以下です。2015年に社員全員に退職パッケージが提示されたところ、18%が退職しました。一般的な数字よりかなり高くなっています。原因は、もったいぶったマネジメント専門用語が羅列した規約を学んでも実際には仕事の仕方は変わらない、進捗がはっきりしない、責任の所在が不明確など生煮えのアイデアなどだと言われています。

 では次にその組織構造を成立させるのに必要なHolacracy用語を簡単に見ていきましょう。

◎規約:従来のマネジメントスタイルとは異なるために、規約によりすべての構造とプロセスが形式知化され記載されている。各メンバーはその規約学び、規約に基づき自律して行動する。

◎形式知化のためのツール:各種アプリが開発されている。アプリは、glassfrog。役割、進捗、判断基準は透明性が確保されている。

◎サークル:自律的に機能する役割の基本単位のチーム。状況に応じて柔軟に形成され、終了する。自律的にサークル間で関係を持つ。

◎役割:holacracyのサークルにおける役割は、成果やプロセスに一連の責任を持つ。個人の仕事は複数の役割から成る。

◎LEAD LINK:各サークルにはLEAD LINKが一名いる。従来のマネージャーの役割の一部を有している。サークルの戦略と優先順位をはっきりさせる、資源の最適配置、サークルの指標決定、サークル内の個人の役割を相談しながら決めるパートナーの任命、サークルの障害に対する対処など

◎REP LINK:サークルを束ねるサークルのLEAD LINK。サークル間の障害を取り除く。下位のLEAD LINKのサークルの決定を退ける権利も有する。

◎ファシリテーター:規約に基づきサークルの会議を開催。ファシリテーションプロセスも規約により詳細に定義されている。

◎秘書:規約に記載されているあらゆるサークルに関する事項を文書化する。サークルの会議の招集を行う。

◎CLOU: 個人の役割の了解公式文書の略。個人がかかえる課題と関係するパートナーと相談しながら役割を決める。役割を成果基準とともに記載する。

◎個人:基本的に複数の役割を有する。自ら発案し動く。


 個人の視点から事例的に見てみましょう。法科大学院を出たばかりの新入社員が、法務的知識だけでなく分析スキルや営業スキルなどの驚くほどの多様な能力をもっていたとしましょう。一般の企業では彼の営業スキルは開花することなく抑え込まれてしまうことが多いでしょう。しかしholacracyでは自ら営業の役割を宣言しその役割をパートナーにコンサルティングしてもらい認めてもらうことができるのです。

 さらに自ら不要な業務を宣言し、他の人の役割とすることもできます。LEAD LINKはその役割を喜んでやりたがる人にアサインしなおすのです。同時にいくつもの仕事を並列でこなせる能力、高いモチベーション、高いコミュニケーション能力が必要でしょう。仕事とは命令された事を着実に実施することだという考え方の人は不向きと思われます。

 ではどのような組織に適用するのが向いているのでしょうか。HBRでは判断のための2つのキーワードを提示しています。それは信頼性と適応性。信頼性は標準化により品質を向上させるというメリットとともに組織の硬直化とお役所仕事をまねきます。一方、適応化は顧客や市場に急速に対応できますが、個別の状況に応じて最適化しすぎると組織が分断され会社として焦点を当てるべきポイントを見失います。
 
 例えば衛星を打ち上げ管理運営する企業などでは、信頼性が重要であるためにholacracyは向いていないでしょう。ZapposやAirbnbなど顧客の声をきめ細かに拾う必要がある企業には向いているでしょう。また、大きな企業の中でも適応性が必要とされる部門や機能に適用することによりその効果を発揮させることができるかもしれません。

 ITをフルに活用して変化と不確実性を自在に操る組織を求める営みはまだ始まったばかりかもしれません。みなさんの組織でも何か一歩を踏み出してみませんか。(桑江曜子)
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