H22年の浦和明の星女子の問題から、気づいたことを書いてみます。

選択肢の問題で、「憲法では、天皇が国事行為として特定の宗教儀式をおこなうことを認めている。」という枝があります。

特定の宗教儀式に新嘗祭などの宮中祭祀があたることは問題ないでしょう。戦前から歴史的にもそういう扱いでした。

では、国事行為にあたるのか。

明の星の問題では、そうではないとの解釈に立ち、誤答になります。

憲法の政教分離原則からもそうあるべきでしょう。


実は宮中祭祀にははっきりしない点が多いのです。

憲法7条10号には天皇の国事行為として「儀式を行うこと。」とあります。

宮中祭祀が、この儀式に当たるかについては憲法にも法律にも明文規定はありません。

学者の間でも「天皇が私的に執り行う儀式」として公的な性格はないとする立場と、「皇室に私なし」として「内廷の公的な祭祀」とする立場に分かれるようです。

つぎに宮中祭祀の場である、宮中三殿について考えます。

宮中三殿とは賢所(かしこどころ)、皇霊殿(こうれいでん)、神殿(しんでん)の総称であり、これらは天皇の私有財産とされています。つまり、国有財産ではないのです。

こうしたことからも、宮中祭祀の私的な性格は読み取ることができます。

しかし、ここにも問題があるようです。

建物(建築基準法上の建物に当たらない可能性もある)としての三殿が天皇の私産としても、その土地はどこのものか。

それも私産だとすれば皇居内の他の土地となぜ、いつから違うのか。

そもそも土地・建物の登記は税金はどうなっているのか。

このあたりは調べてもよくわかりませんでした。


仮に、国から天皇ということであれば国会の議決が必要でしょう。

公有物ではない(なぜ)として、時効取得したのであれば、時効の援用が必要でしたっけ。

登記も第三者対抗要件ですか?

歴史的な事情は当然わかるとして、そろそろ法律の根拠をおくことが必要な時期になっているのではないでしょうか。