意図しないアート
【編まれた籠のような…】
写真は、先日お邪魔したスヰヘイ社さんの近くで見つけた、
お魚屋さんにて。
青い布テープかなにかで養生していたのだと思うのですが、
月日が経ち、風雨や潮風にさらされて、
こんなにアーティスティックな仕上りになった模様。
苦肉の策がアートに見えた、氷見の里山を思い出しました。
青いビニールシートは好きではありませんが、
これなら、港町にマッチしている気がしました。
●アートと手間ひま
ケミカルなのに、
民芸品をみているような気分になりました。
そして、これはアートだと思いました。
…それにしても、“アート”って、なんでしょうね。
本人が意図しなくても、受けとり側が「アートだ!」と思えば、
それはやっぱりアートだと思うのです。
たまたまとなりに、
現代語・古語 新潮国語辞典~第二版~ があったので引いてみました。
(井上ひさしさんも愛用されていたということから購入し、
枕替わりに使いすぎて涎跡がいっぱいついている20年物の相棒)
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①芸術。美術。②技術。
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…簡潔(笑)。
さすがに英語なので、
古語の初出例は書いてなかったですけどもね。
20代前後の頃に「アートだ!」と思って
半ば衝動的にやってきたことなんか、
一蹴されちゃうくらい、こちらの青い方がもっと力強い。
あの頃は、
「どう受け取ってもらうか」とか
「自分の表現方法や作風」に関心が傾きすぎていました。
今思えば、そんなのアートでもなんでもないと思うんだけど、
でも、今までの人生の中では、
もっともアーティスティックな時代(笑)だったと
思うのです。
やむにやまれぬ理由で生み出されたものは、
それをする強い動機が存在しているから、
ぐわっと心を動かされる。
その方面に特に造詣深いわけじゃないので、
ここでやめておきますが、
“手間ひま”をかけられたものが、
必ずしも美しいわけではないでしょうが、
やはりそれなりの見どころがあると思うのです。
あ。ついでだから「手間ひま」も、
新潮さんに聞いてみよう。
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手間とひま。労力と時間。
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使用例初出は、
近松門左衛門作の「寿門松(ねびきのかどまつ)」(1718年1月初演)だそうだ。
辞書も多分にアートだな、と思う。
今度は、新解さんに聞いてみようっと。