イカの日
【大澤光民さん作】
さかのぼってます。
12月16日は、作業がめっちゃあるけど、
それをちょっと横に置いて、
「itona」4号のための取材に同行。
高岡の林口砂里さんが参加してくださることになった次号、
砂里さんとともに、人間国宝の大澤光民さんと伝統工芸士の鳥田宗吾さんのもとへうかがった。
内容については、砂里さんの記事で楽しんでいただくとして、
とにかくとにかく、お二人にお会いして、
心がジャバジャバと洗濯されたような、清々しい気分になった。
【鳥田宗吾さん作】
ひとつの道を極めてきた方は、
まるでこの世のすべてに精通しているように、
言葉に重みがあり且つ爽やかだ。
自分の心の有り様や自らの存在に
テーマを見いだし表現を追求する作家が多い中、
宇宙とか光とか水とか自然とか、
自分を超えた存在をテーマに表現を磨いてこられた方の、
神々しさにふれ、すっかり毒気が抜けた気がした。
…でも、一朝一夕にそうなったわけではない。
いろんな試行錯誤、失敗があって、今がある。
不断の努力で得られたそのたたずまいは、
どんなに豪華で頑丈な衣装を身につけるより、
強くて美しいと思った。
…そして、
お二方の工房にお邪魔したが、そのどちらもにイカが居ました。
大澤さんの方は若いときにロウ型で作られたものだそうだし、
鳥田さんの方は象嵌の技術を使って今も作られているものだけど、
着目センスや取り組み方の真摯さに何か通じるものを感じました。
「犬馬難 鬼魅易」(ケンバムツカシ キミヤスシ)
(犬や馬のようにありふれたものを描くのは難しいが、
鬼魅(ばけもの)のように実体のないものを描くのは易しい)
という言葉がありますが、
イカも、富山県民にしてみれば、犬や馬の類いだと思うのです。
かなりの頻度で食卓に並ぶし、よく目にしているもの。
身近な題材こそ、観察力と表現力が問われるのだと感じた日でした。