【富山市】売薬資料館の見ごたえ | 勝手に☆とやまの定住コンシェルジュのBlog

【富山市】売薬資料館の見ごたえ

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【富山市売薬資料館】このひっそりとした建物に、熱い越中の商売魂が!

●小さい頃に一度は見たけど…

この売薬資料館、私は小学生のときに、遠足かなんかで来た記憶があります。

その後、帰省の際などに東京の友人を連れて何度か訪れている場所。
…ここは大人になってからの方が、俄然、おもしろい場所です。

「越中富山の薬売り」と言えば、日本全国の人が知っている…。

県内のみなさんは特に、昔むかしの交通が未発達な時代に、広くあまねく日本をカバーし営業していた「売薬さん」のすごさを、小さい頃から刷り込まれているかと思います。

でも、売薬さん本人が薬を製造していたとか、売薬さんどうしで厳しいルールがあったとか、こういう話をひとつひとつ、資料や展示とともに見ていくと、あっという間に時間が経ってしまいます。

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【チケットと一緒に紙風船】4人で行ったので、4枚いただきました。入館料、大人100円。

残念ながら、館内は撮影禁止のため、写真がありません。ごめんなさい。

●柳行李に一同、クギづけ

東京の友人を連れていったので、驚きポイントがかなりありました。とくに、5段の柳行李(やなぎこうり)には、その当時の最先端のノウハウが詰まっていました。

1段目は、顧客管理台帳である「懸場帳(かけばちょう)」や計算用のそろばん、財布などが…これは今でいえば、顧客のデータベースの入ったPCみたいなもんですよね。

2段目は、みんなが喜ぶ紙風船や折り紙などのお土産品を。

3段目は、回収した古いお薬を。

4段目と5段目に、新しいお薬を入れており、とくに高級なお薬は5段目に入れていました。

 →この辺の写真は昭和レトロ堂さんのHPに紹介されています。

これを見た一行、できれば写真を撮らせてもらいたい!と、直談判を試みてみますが…。

結局かなわず。

写真については、しかるべき手続きをして、出直すことにしました。でも、おかげさまで、学芸員の方が出てきてくださり、最初から丁寧に展示の紹介をしてくださいました。

昔は売薬さんそれぞれが、お家に帰ってお薬づくりをしていた、とか。薬だけでなく、パッケージだってかなりの部分をやっていたのです。

なんでもやるなぁ、売薬さん。

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【密田家土蔵】移築された売薬商家の土蔵。中には売薬版画などが展示されていました。

●商売の原点がある

売薬さんのすごいところは、品物を先に預けて、使った分だけお金をもらうというシステム=「先用後利(せんようこうり)」と言います。

説明してくださった学芸員の田尻さんも、この販売システムをつくり出した越中売薬さんの魂というか考えというか、そこがすごいんだ、とおっしゃってました。

さらに、仲間組示談というのをつくっているのですが、これが、なんというか、現代の営業マンにそのまま教えたいような内容なんですよ。

訪問地での慣習を大切にしたり、安売りしないようにしたり、仲間の営業に行ってるお家にいかないようにしたり、病気になった仲間を助けたり…と。

ここに来ると、商売の原点がある気がします。

今、現代に必要なのは、「お金」や「もの」ではなく「信頼」なのだと思っております。即物的な報酬でなく、「お役立ち」の末に得られる報酬には、何倍も価値がある…。

つまり、富山の売薬さんは、いちはやく〝信頼商売〟をやっていた方たちなわけです。

●ドラッカーもいいけど売薬資料館もね

〝信頼商売〟だけじゃないんです。

有名な紙風船をはじめとした、玩具たち。

私たちの親の世代以上の人たちは、売薬さんが来るのを楽しみにしていたんですよね。日本全国の子どもたちが、待ってたんですよ。

田尻さんいわく、売薬さんが来るとたちまち噂が広がったと。

サンタさんの文化が入ってくる前の話。おもちゃもあんまりない時代。…どれだけの熱望と興奮の中で迎え入れられたのでしょうね。

…そう、エンターテインメントの要素も持っている商売。…思えば思うほど、すごい奥深い世界なんですよ、売薬。

バリバリ働いている人なら、絶対、ぐっとくる。
一段落の折り返し地点に来た方も、感じるものがある。

何度行っても、新しい発見があります。

ここは、もはや資料館ではありません。商売の聖地です。マジで。

売薬さん、本当にすごいです。

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【入口までは撮影できるので】かわいく並んだスリッパたち。せめてもの写真。


【富山市売薬資料館】
〒930-0881 富山県富山市安養坊980
TEL:076―433-2866
施設HP

年末年始休館