相続が発生し、相続財産をみると、数十年前に亡くなった父母や祖父母の名義のままの不動産が見受けられます。

名義を相続人の一人に変更しようとする場合、遺産分割協議書に相続の仕方などの内容をまとめ、相続人全員の了解を取り、実印を押してもらう必要があります。

相続登記がされていないと、子から孫、孫からひ孫へと世代が下がるにつれて不動産に係る相続人がねずみ算式に増えていて相続人全員の同意を取り付けるのが難しくなります。

血縁関係が遠くなったり、不動産がある地域との縁が薄れた相続人はどうしても非協力的な対応になります。

放置が長引くほど、権利関係が複雑化するため、建物を解体したり、売却や賃貸など不動産を有効活用したくてもその足かせになってしまいます。



また、司法書士への依頼や遠方の相続人に会うための交通費、事務手続きの費用も多額になります。

さらに、相続人の中には認知症の可能性がある人がいると成年後見人の選任が必要かも知れません。




相続登記が法律上義務付けられていないため、手続きの煩雑さや費用の問題から不動産の評価額が低いほど、放置されやすくなっています。

昭和22年の民法改正まで、戸主に所有権が自動的に移される家督相続制度が普通だったことなどで、相続登記が進まなかったと指摘されます。

戦後の民法改正で法定相続制度になり、家長以外にも相続権が認められるようになりましたが、相続登記の期限は設けられませんでした。




相続登記の義務化など根本的な制度の見直しが必要と思われますが、法制度化はまだまだ先になりそうです。



弊社では、相続が発生した場合には、相続税の計算はもちろん、提携する司法書士に登記も依頼し、早めの対応を心掛けています。