タクシー運転手の給料という概念

タクシー運転手の給料の算出方法について

タクシー運転手の給料は誰から受け取るのか?

タクシー運転手の給料、給与という表現にも実は若干の違和感を覚えるのが業界歴20年を超える関係者のおっさんである自分の感想。

ぶっちゃけ、タクシーの運転手の収入源は、自分が運んだお客様から頂戴する料金から会社の必要経費を差し引かれた分を歩合給という形で受け取るのがその全て。

売上げに応じてパーセンテージが変わるものの、普通の会社員の様に会社の利益を支給されているという感覚とは程遠いのが本音です。

法人タクシーといういい方になるのは、その実最も数が多い個人タクシーという独立自営のタクシー事業者が存在するからですが

誰しもが簡単に個人タクシーを開業出来る訳ではありません。

法人タクシーに於いては臨時雇いとか日払い労働者を雇用する事が禁じられていますので、大手だろうが中小だろうが正規雇用の正社員を会社の乗務員として選任する作業が必要になります。

結果的に法人タクシー乗務員というのは体裁として会社員という立場での仕事になるのですが、その実ほとんどが完全歩合の売上げから給与を得る形。

これを固定給にしたりボーナス支給の形でインセンティブ報酬というスタイルにしたい所ですが、残念ながら、これまでの法人タクシー運転手にはそういう話が通じない。

クルマだけ出して適当にグルグルしてれば売上げがなくても給料が貰えるとなれば働こうとしない人材も解雇は難しい状況になり、これまでタクシー会社でそうしたスタイルが根付く状況にはならなかったという事になります。

本当の事いうと、コレに近いサボり運転手が多い某社等にあっては、最低賃金割れになるので拘束時間にたいする給与を保障しちゃうと完全に赤字になってしまうのです。

 

それでは困るので売上げに比した歩合制という形で給与を決めるのがタクシー会社の給与制度のあらましです。

悪名高きタクシー事業者の中には、この仕組みを逆手にとってタクシーの営業車も会社の制服も全てタクシー運転手にリースの様な形で貸し出して

会社は売上げがあろうがなかろうが一切お構いなしで利益を確定しようとする事業者がいまだ存在するという噂もありますが

その場合は大きな事故でも起こせばすべてが乗務員の負担として損害賠償が請求され、人生に終止符を打つ結果となった運転手さんが存在します。

タクシー業法という法律により、この仕組みでの事業運営は禁止されているのが本当のところ。

違法な形態で、雇用ではなく請負をさせているにも関わらず平然と「お客様の為の低価格」を宣伝文句に使っている事業者が排除されないのは、特権でも行使しているのだろうか?と疑問に思います。

 

個人タクシーの場合は給与になるの?

一方で個人事業者である個人タクシーの場合は途中に会社が存在しないので、実質的に売上げが自分の取り分に直結です。


ちょと長くてややこしい名前になってますが、こちらが個人タクシーという形でタクシーの運転手さんを生業としている方々の法的な要件になります。
正式には「1人1車制個人タクシー事業」という事業に従事する個人事業者です。
法人ドライバーとは違ったタイプのタクシー運転手と認識しても問題ありません。
個人事業者というのは、基本的に雇用される労働者という範疇には当てはまりませんから、ある種の経営者という側面も持っています。
そうなると「給料を貰う」という状況というよりは自分の給与を支給する側面も発生しますが、余程不動産収入でもあるような事業者さんでもない限り
売上げから燃料費や保険などに必要な金額を差し引いた残りが自分の取り分になります。

東京では大手がさも自分の会社が大きいなどと喧伝していますが、実際にはその企業規模を超えた数の個人タクシーが存在しています。
そして中小と言われる法人タクシーも300以上存在していますから、企業規模などの表現に惑わされると情弱と呼ばれても仕方ありません。

タクシー運転手の給料は自分で決めるもの

タクシー運転手の給料は?

お客さんから頂く料金以上にはなり得ない。

売上げから必要な経費を差し引かれる事に異論を挟む余地はありませんが、それでも「有給がとれない」などと騒ぎだす方もいらっしゃいます。

本来、法人タクシー運転手も個人タクシー運転手も、お客様の移動を手伝って料金を頂く事が収入の原資になる訳ですから

元々発生してないお金を払い出せという事であれば、逆に日常的な歩合が少なくなければ有給に資する原資がない事を理解しておく必要があります。

法人タクシー運転手で、自分は雇用された労働者であるという認識が先行しているだけの方に限って、こうした当たり前の観点が欠落しています。

現状では確かに大手の会社の方が福利厚生の面で優遇されているかの様に映りますが、実際は普段の歩率が数パーセント目減りしているのが本当のところ。

チケットや乗り場営業権を確保するために使う経費も全て運転手さんの売り上げから控除しているのは当然です。

無線、チケット、高速代、有給。全部タクシー運転手の取り分を会社に留めているのは当然と言えば当然ですね。

中小は逆に殆どが出しきっちゃってます。なので休んだ日の給料出せって言われても、原資がありません。それで有給という概念がそもそも存在しない。

 

お客さんにとってみれば、どのタクシー乗務員がよく道を知っているのかも分かりません。

ベテランといえど、その質にも大きな差があるのもまた事実。

 

ロンドンタクシーは日本であれば個人タクシーのレベルである筈ですが、日本の個人タクシーがそこまで質が高くない事も認めざるをえません。

本来は一部優遇されている個人タクシーの地理試験などはきちんと実施しておいて、同様の接遇に関するスキルも求めておけば良かったのだと思います。

 

結果的に過去の施策に、その時々のそれぞれの立場からの思惑が流れ込んだ結果、現在の不条理な状況を産んでいると考えられます。

 

ここまで文字だけ打ってみても、なかなか全ての問題を指摘する事は出来ませんが

今後もこうしたタクシー業界の歪についての解説を続けてみようと思います。

 

いい人は( ・∀・)イイ!!

悪い奴は悪い!!

 

選ばれるタクシーなどと騒ぐのは、自信のない顕れですので、皆様お間違えなきよう m(__)m