おじさん(=ゼツリンダー)の職場は東京都内の八丁堀という街で、東京駅までは徒歩10分程度

だから昔は八重洲仲通り周辺で遊ぶこともしばしば

そこにはキャバクラならぬパブクラ(=パブクラブ)というキャバクラより安価な遊び場所がありましてね

「プチベル」「銀の鈴」という2軒のパブクラ入るビルが仲通りの入口付近にあって、向かいのビルには「炭火職人」という焼肉屋が

まずそこで焼肉を食い勢いをつけ、そのあとパブクラに行くというパターンが一時期の定番

帰りは気持ちも大きくなって、まだ電車があってもタクシー利用ww

電車に乗っても20分くらいなんですけどね

ある時、ご機嫌で八重洲からタクシーに乗り、運転手さんに

行徳まで

と告げました

運転手さんが

はい行徳までですね

と答えます

おじさんもご機嫌で

そうそう行徳行徳

と答えます

わかりました行徳まで

と言って車を出しました

道すがら運転手さんが以前乗せた客の話をしてくれます

若い男女2人なのですが要するに必死に女の子をホテルに連れ込もうとして失敗した男の話

その客の行き先が錦糸町、行徳とはまるで何の関係もない場所です

でもおじさんはご機嫌だし話も面白いのでまるでそんなことは気にしません

しかし、なんか妙に暗い道を行くなという気がしてきました

その日は事故渋滞とかで珍しく湾岸道路を使わずに一般道で行徳に向かっていたんですね

だから葛西橋通りか新大橋通りを通るはずなんですわ

いずれも深夜まで営業している店舗が少なからずあるのでさほど暗さは感じないはず

ようやくここでおかしいと思い始めたところで、突然真っ暗な場所のど真ん中で車が止まりました

はい着きました

という運転手さん

思わずあまりの暗さに

えっどこここ?

と聞き返すおじさん

ここで初めて事の次第がわかる一言を運転手さんが言い放ちます

はい両国です

驚いたのなんの、おじさん思わずこう叫びました

せめて国技館だろう~

そうです

車が止まったのは深夜1時過ぎの

江戸東京博物館前!



振り向けば暗闇にぼんやり日大一高がそびえ立ちますww

運転手さんが思わず

あっ向こうでしたか?

そう聞き返してきましたから、おじさんもすぐツッコミ返しましたよ

違うわww

まあ、運転手さんもボケた訳じゃないんですけどね

そりゃあ、あっ向こうですかと言いますわ

こっちが驚きのあまりツッコミどころを間違えてますからねww

怒るよりも奇跡的な聞き間違いに必死に笑いをこらえながら説明します

いや、行きたいのは両国じゃなく行徳だからww

千葉、千葉、浦安の先ww

八重洲から両国なら高速乗らなくていいじゃんww

だから錦糸町のホテルに女連れ込み損ねた男の話してたんだ?ww

運転手さんはここ時点でようやく自らの致命的な聞き間違いに気づきしばしフリーズ

そして、慌てて何度も何度も謝ります

冒頭のやりとりは本当はこうだったのです

おじさん「行徳まで」

運転手「はい、両国までですね」

おじさん「そうそう行徳行徳

運転手「わかりました両国まで」

お互いまったく聞き間違えている意識はないww

おじさんは両国が行徳に、運転手さんは行徳が両国に聞こえていたのです

おじさんはあまりのおかしさに自分で笑ってしまっています

しかし運転手さんは泣きそうな感じで謝るのをやめません

だから、こういってなぐさめましたわ

いーよいーよわざわざ2回も確認してくれたのに俺も2回とも聞き間違えてるんだからww

でもダメだよ~体型見て行き先判断しちゃ~ww

というとようやく運転手さんにも笑みがこぼれます

そうはいっても問題なのはこれからどうするか

おじさんの提案で

八重洲から両国までのお金は運転手さん

両国から行徳までのお金はおじさんが払うことにしました

あとでそれを友人に話すと、

皆一様に絶対お前が一方的に損してるじゃん

と言います

八重洲から両国はせいぜい14、5分

両国から自宅が30分強

まあ八重洲から一般道で自宅に帰るのと別に大差ありません

だから、個人的には損したという感覚はないんですわ

むしろおいしいww

今でもそう思っておりますww