「ラグビーが負けた日です」

ラグビーW杯日本代表の田中史朗は、試合後報道陣に険しい表情でそう語った。

13日に行われたラグビー・トップリーグの開幕戦パナソニック対サントリーの試合後の話だ。

テレビでは連日五郎丸人気を中心にするラグビーフィーバーを伝えている。

何がラグビーが負けた日なのか?

この対戦は五郎丸こそ出場しないものの、三連覇のかかるパナソニックと強豪サントリーといういわばゴールデンカード。

そして、ワールドカップイングランド大会で活躍した日本代表選手が11人も出場するとあって、スタンドは満員の観客で埋め尽くされると思われた。

事実、前売り券は飛ぶように売れ、見事に完売し当日券も出せないという予想通り、いや予想を上回るほどの売れ行き。

当日は当日券を求める人も多数会場に訪れたが、それでも当日券は売らないという方針を貫きお帰りいただく事態に。



そして、いざ試合が開始されるとスタンドの一部は空席が見当たらないほどの観衆で、ラグビーブームを実感させる大変な盛り上がりとなった。

テレビ報道などではスタンドのその部分を強調し、さすが凄い人気ですね的なまとめになっていたのだが……。

しかし、最終的な観客動員は、昨年の開幕戦より370人も下回るという、ブームとは程遠い結果になっていた。

ただし、確かにスタンドは物凄い盛り上がりだったのは間違いない。



だが、実際にはスタンドはこういう状態だったのだ。



あるブロックから先には観客が全くいない。

電工掲示板の前にはパラパラと人影が確認できる。



一体なぜ?

ラグビー協会は両チームが関係者に配布するように9千人分のチケットを割り当てていた。

協会はこの9千人は全員観戦に訪れると見込んでいたが、いざ当日になるとこの割り当て分の観客は半分も来場しなかった。

この割り当て分の9千人は全員来るはずだから、チケット販売はこの9千枚を引いた数だけ販売しよう。

ラグビー協会はこう決定し、チケットの販売数をある程度絞ってしまった。

そのため、チケットはあっという間に売り切れ、ラグビー協会は当日券は販売できないと判断をするに至った訳だ。

それもこれも割り当て分の9千人が来ないはずがないという盲信による判断ミスだった。

その判断に従い、ラグビー協会は企業の割り当て分の9千人を優先し、当日券を求めて当日会場に訪れた観戦希望者を門前払いしたのである。

きっとこれまでは、この企業への割り当てが日本のラグビーを支えてきたんだと思う。

それは十分に理解できる。

でも、これからのラグビーブームを支えていくのは誰だ?

それは、販売するかも定かでない当日券を求めて会場を訪れた人々ではないのか?

いつまで日本のラグビーは企業への割り当てに頼っていくつもりなのか?

それは決して正しいやり方ではないし、いつかは改めていかなければならない悪しき慣習ではないかと思う。

過去にはなかった空前のラグビーブームに日本中が沸いている今こそ、この悪しき慣習と決別する好機ではないのか?

現在のラグビーブームに自ら終止符を打つことになりかねない今回の失態を繰り返すことのないよう、1日でも早く悪しき慣習など捨て去ろうぜ!

ねえ、ラグビー協会さん。

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