杉山卓男さん死去=布川事件で再審無罪 - Ameba News [アメーバニュース]
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布川事件で何1つ証拠もなく複数のアリバイ証言がありながら、たった1人の曖昧な目撃証言と繰り返される暴力と恫喝の末に強要された自白のみで強盗殺人犯の汚名を着せられ、約29年間も収監された杉山卓男さんが亡くなったという。

おじさんが生まれる約1年1ヶ月前の1967年8月に発生した強盗殺人事件、それが布川事件だ。

結局、最後まで証拠はただの1つも出てこなかったが、数ある目撃証言の中から1つだけを取り上げ、それをもって当時20歳だった男性と21歳だった杉山さんが事件発生から約2ヶ月後に別件逮捕され、以降仮釈放されるまでの約29年間収監されることになる。

この事件が異常なのは、証拠が1つもないだけでなく、この事件は強盗殺人事件であるにも関わらず、そもそも何が盗まれたのかがよくわかっていない。

唯一ハッキリしているのは白い財布が無くなっていた……はずということ。

この白い財布はやっていないことを自白させられているため、証言が二転三転している上、結局見つかっていないので、そもそも事件発生時に現場にあったのかすら、今となっては定かではない。

そして現場からは被害者以外の指紋が実に43人分も検出されているが、その中には杉山さんの指紋も一緒に逮捕された男性の指紋もない。

驚いたことに警察はこの件について、それは2人が自分達の指紋を消したからとしている。

そう、つまり被害者と43人の計44人の指紋を誤って消すこと無く完璧に避けて、見事に自分達の指紋だけを1つ残らず拭き取ったというのだ!

こんなことが物理的に可能なのか?いや出来るはずがない。

まだ手袋をしていたならわかるが、もしかしたら手袋をしていたことにすると他の問題が出てくるから自分達の指紋だけ拭き取ったという馬鹿げた理由を考えたのかもしれない。

結局、何1つ証拠がないまま、そして何が盗まれたかすらよくわからないまま、真っ暗闇の中で2人を見たというたった1人の目撃証言と繰り返される暴力と恫喝でもぎ取った自白のみで裁判がスタート。

実はこの目撃証言と自白すら本当にいい加減で、まったく信用に足るもので無かったことが明らかになる。

目撃状況を再現したところ、暗すぎて誰かを判断することなど出来ないことが再審で判明。

また長い間無理やり杉山さんたちに言わせた自白に合わせて、被害者の死因は、被害者の首を杉山さんたちが手で絞めたことと警察と検察は主張していたが、何と実は紐で絞殺されていたことが発覚。

また再審では、二人のアリバイを示す目撃証言も多数あったが、警察が別の日の出来事にしていたこと、現場宅に事件前2人や被害者以外の人間がいたという目撃証言を隠していたことも発覚。

しかも二人の自白テープはところどころ切られて、都合のいい部分だけが繋ぎ合わされていたこともわかった。

これほど警察、検察がやりたい放題やっていたにも関わらず、裁判所は終始一貫検察側の主張を支持し、杉山さんたち二人は無期懲役を言い渡される。

常識的に考えて、有罪になるはずのない。

まず逮捕できないはず、仮に逮捕できても裁判まで持っていけないはず、仮に裁判まで持ち込めても公判を維持できないはず、仮に公判を維持できても無罪になるはず。

それなのに、有罪になってしまった。何故?

終始一貫、裁判官が検察側の主張を支持した唯一の理由。

それが自白をしているからというものだった。

果たして、自白を強要する警察が悪いのか?

それとも、例え証拠がなくても、自白さえあれば裁判官がその自白を盲目的に信じ検察の言い分を認めるから、ついつい自白を強要してしまうという悪循環なのか?

つまり裁判官が悪いのか?

警察制度が悪いのか?司法制度が悪いのか?それとも両方悪いのか?

今この国では、ようやく取り調べの可視化実現に向けた取り組みが始まり、更なる完全可視化に向けた議論が進んだことで、その実現が現実味を帯びてきている。

もう、何一つ証拠もなく、まともな目撃情報1つない人に殺人犯の汚名を簡単に着せてしまう国であってはいけない。

そのための取り組みを進めていかないといけない。

改めてそう思うニュースでした。