今回の内閣改造を通じて、菅さんはいったい何をしたかったのでしょうか。消費税増税とTPPというキャッチフレーズを繰り返すだけで、具体的な中身も、実現に向けての道筋も語らない。本当の覚悟がないから、語ることができないのだと思います。


菅さんは今回の人事で自らの求心力を高めるどころか、遠心力を加速しました。党内抗争の挙句、反小沢で人事を固め、中核は菅、仙谷、岡田、枝野の4人組が仕切る。しかし総理の求心力を高めるためには、党内から適材適所で幅広く人材を求め、自らの陣地を広げていくという戦略を描くべきだったのではないでしょうか。党内の意見集約もできない総理では、野党と話し合う土俵にも立てません。


与謝野さんの入閣も裏目に出るでしょう。ねじれ国会の厳しさを前に、野党とのパイプも期待したのだと思いますが、逆に国会では与謝野さんが批判の矢面に立たされることになります。与謝野さんは自民党の比例代表で当選した議員です。まずは議員辞職し議席を自民党に返した上で、民間大臣として入閣されるべきだと思います。それができないのなら、衆議院の2/3の勢力確保のためにポストを餌に一本釣りされたとみられても仕方ありません。これでは野党とのパイプ役を果たすことは難しいといわざるを得ません。


人事で党内の亀裂を深め、野党との距離も拡がりました。何をやるのかもはっきりしない菅再改造内閣が今年の日本経済の最大のリスクかもしれません。