【映画感想】「広島の映画館、八丁座」のお話と「ムーンライト」の感想 | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。

 

 

 

GWに広島に観光に行ったついでに、まだ観れていなかったアカデミー作品賞作品「ムーンライト」がやってる映画館ないかなぁと探していたら、広島市内の「八丁座」という映画館でやってるということがわかりましてね。で、八丁座に行ってみたらとてもおもしろい映画館だったのでそこのお話と、ついでにそこで観た「ムーンライト」の感想を書いてみます。

 

朝に広島につきまして、「この世界の片隅に」の影響もあったりなんかして原爆ドームや資料館を観てお勉強しまして、食べたかった広島つけ麺を食べて劇場へ。

 

すずさんに思いを馳せつつ…

 

 

まったく八丁座という映画館がどんな映画館か知らない状態で行ったので、入ってみてまぁビックリ!全体が和な雰囲気で統一された素晴らしくコンセプチュアルでおしゃれなミニシアターだったのですっ!!(・∀・)

 

エスカレーターを上がると和な照明に照らされた八丁座の文字。

 

受付はこんな感じ。まずねスタッフさんが全員ハッピを着てまして、時間表も御覧の通り和なかんじで統一。

 

そして粋なのが劇場の座席!御覧の通り、見慣れた「ABCD」の順ではなく、「いろはにほへと」で並んでおりまして、SCREEN壱の文字。そして、畳席やカウンター席なるものも!

 

 

劇場後ろからと前からの写真でございます。

 

後ろは提灯が並んでました。

 

気になっていた畳席はこんな感じ。

 

こちらはカウンター席

 

普通の席はこんな感じで。御覧の通りフカフカのソファーにゆったりした前後感覚とおしゃれなドリンクスペースでございます。

 

 

こちらは劇場扉。こちらもおしゃれだ!

 

 

トイレは男子トイレは「殿」女子トイレは「姫」となっておりました(笑)

 

 

次回作品一覧はこんな感じ。明らかに映画好きが上と戦っているようなラインナップでとってもすばらしい信頼できるラインナップ!

 

 

劇場がキレイでオシャレなのはもちろんですが、スタッフさんたちの対応も素晴らしくて、劇場のマナーの注意も上映前にスタッフの方が前に出てきてマイクで直接「ケータイはオフで…」というのがあり、続いてこの「ムーンライト」の説明までありました(「アカデミー賞作品賞受賞作で監督は~~という方です。」というような。)ついでにゴールデンウィークというのは映画業界から生まれた言葉なんですよ~なんていう小話もありつつ、「それでは最後までごゆっくりお楽しみください」との言葉で締めくくられ、「ムーンライト」のスタート。システマティックなシネコンではみられないオシャレ系ミニシアターな粋なはからいにもうこの時点で大満足でありました。大学時代、都内近郊の映画館はほとんど全部行きましたが、この「広島 八丁座」という映画館が今のところいちばん好きな雰囲気の映画館になっちゃったくらいめちゃくちゃ粋な箱なので、ぜひみなさんも広島に立ち寄った際には行ってみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

てなわけで、いつも通りのモードにもどりましてムーンライトの感想を少し。

 

 

 

ムーンライト

 

 

好き度: ★★★★☆ 4.0/5.0点

 

 

 

青い光が愛をとりもどす

 

 

 

「ラ・ラ・ランド」とアカデミー作品賞を争って、授賞式でもなにかと話題になった「ムーンライト」を観てきました。素晴らしかったです( ;∀;)!!

 

 

まず撮影がめちゃくちゃすごいというのは誰が観ても一目瞭然ではないでしょうか。とにかく、美しい。それに加えて、LGBTや人種問題、貧困やドラッグなど様々な要素で語ることが出来そうな本作ですが、観終わった後の感想は、なんて素晴らしい恋愛映画なんだ…というところだったからこれは意外な驚きでした。

 

もうとにかくドン詰まりの人生の描きこみがほんとにキッツイんだけど素晴らしくてねぇ…、イジメだったり、自らのアイデンティティの悩みであったり、母親がドラッグ中毒であったり、信頼していた人が母親にドラッグを売ってる売人だったり、好きだった人に裏切られたり、もうドン詰まり感の描き方と映像の美しさのギャップがますます残酷さに拍車をかけておりましたね。あと、色の使い方、画面が青色のトーンのとき、はたまた逆に赤色のトーンのとき、その色の使い方も素晴らしかったです。そして何より役者陣。とくに主人公のまわりにいる大人たちがことごとく素晴らしい演技でした。

 

助演男優賞もなっとくの存在感

 

この映画唯一の救いでした。

 

めちゃ怖かった。

 

 

やっぱり、ここまでではないけど、生きていると理不尽なことだらけですよね。なんでここまでうまくいかないのだろうか、と人生に絶望することもみんなそれぞれ少なからずあることだと思います。僕も幼少期の家庭事情がけっこう悲惨なもので、、いまだに実家に帰るのがトラウマでねぇ…なんて話は置いといて、まぁでもそんな人生の根底にある願望ってやっぱり「愛されたい」という感情なのではないかなぁと思うんですよね。だからこそ、様々な、困難や理不尽が襲い掛かりだれかに「愛される」という欲望を満たされない主人公が、そんなトラウマを乗り越えて、だれかに「愛される」という喜びを取り戻す映画だったのですねムーンライト。そんな愛を象徴した青色のトーンで統一されたラストシーンには、「よかった、ほんとによかった( ;∀;)」と涙涙のラストシーンで、まさかラストでこんな気持ちになるとは…という映画がムーンライトでした。アカデミー作品賞という言葉に身構えてしまいますが、観てみるととても切ないけど感動的な、愛を取り戻す恋愛映画でありました。素晴らしかったです!