【映画】「毛皮のヴィーナス」を観た。 | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。

 

 

 

 


毛皮のヴィーナス
鑑賞日: 2015年1月5日(月)
映画館: Bunkamura ル・シネマ

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 



原題: La Venus a la fourrure
製作年/国: 2013年/フランス・ポーランド合作
上映時間: 96分
監督: ロマン・ポランスキー
出演: エマニュエル・セニエ、マチュー・アマルリック
原作: レオポルド・フォン・ザッヘル=マゾッホ 著 『毛皮を着たヴィーナス』
あらすじ: SMとはなにかを考えます。


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好き度: ★★★☆☆ 3.5/5.0点



プレイとしての、「おとなのけんか」



新年あけましておめでとうございます!新年映画館初めはタマフルの課題映画にもなったということで、Bunkamuraル・シネマでロマン・ポランスキーの新作『毛皮のヴィーナス』を観てきましたよ~。ル・シネマはたぶん去年の『ある過去の行方』以来だったんですが、なんと学生1100円になっていた!あんま好きな映画館ではなかったんですが、こういうことで一気に好きになります。単純なもんですな(´∀`) 夕方5時過ぎの回を観て、客入りはまぁまぁって感じでした。客層はル・シネマ層という感じで高め。イビキかいてるおじさん1人いてちょっとうるさかったです、疲れてたのかな!(怒)

てなわけで『毛皮のヴィーナス』、すごく楽しかったですよ~!ポランスキーは『おとなのけんか』以来ですが、今回も『おとなのけんか』のように基本ワンシュチュエーションの会話劇でした。情報量はすごく多かったですが、とにかく会話もおもしろいし、2人の演技が素晴らしいし、ワンシュチュエーションながら画の切り取り方がすげぇかっけぇっていうのがあってぜんぜん飽きなかったですよ。


マチュー・アマルリックはポランスキーそっくり。ヒロインはポランスキーの奥さん…。

 

 




舞台の演出家のトマ(マチュー・アマルリック)が主人公。『毛皮を着たヴィーナス』の舞台オーディションに遅刻してきた謎の無名の女優ワンダ(エマニュエル・セニエ)が登場。言葉巧みに、そして絶妙な図々しさと泣き演技で押し切られて、渋々彼女の演技を見ることになるというところからスタート。

がさつだし、図々しいし、あんまりいい印象はないスタート。そして謎が多い!オーディションのリストに載ってないし、持ってないはずの台本持ってるし、舞台の照明も自分でバンバン変えちゃうし、しかもそれがお手の物な感じだし、準備よすぎる小道具をいろいろ持ってるし…とにかく得体の知れなさをいきなりばんばん発揮。そして、いざ演技スタートとなると、セリフは完璧に覚えてるし、自分のところ以外も把握してて、しかも原作も読んでるという完璧っぷり。演技もトマが求めるものを兼ね備えていて、トマもビックリですわ~。この演技スタート!のシーンがすごく良かったですね。ワンダの女優スイッチ入った瞬間の彼女の変化と、「えっ!まじで!こいついいかも!」となっていくトマの表情の変化がどちらも素晴らしくて、さすがや!と思いましたよ~。

てか、このポランスキーのガチ奥さんの
エマニュエル・セニエがほんとすげぇエロいんですよ。48歳ですってよ。ハンパなき色気を放ち、その役どころ通りSっぷりを発揮していくあたりは、非常に説得力あるし、次第にトマを取り込んでいき、気づいたらマウント取ってるこの流れの自然さはほんと素晴らしかったですしね、ぜんぜん踏まれたいっす(しれっとアウトな文章)。さすがポランスキーの奥さんやってるだけありますよ。大道具のサボテンに腰振るやつ、あれアドリブですよねたぶんw最高の熟女だな!


次第に力関係が変わっていき、しまいにはマウント取っちゃいます

 

 




そんなちょっと超人的なワンダと芝居をやっていくにつれて、どんどん今まで浮かばなかったセリフや演出がどんどん浮かんでいき舞台がどんどん理想のものに近づいていくんですよね。どんどんドライヴしていくというか。これがすごくおもしろかったですね~。この映画観てまず思い出したのは『8 1/2』とか『バートンフィンク』とかのその辺の作品をまず思い出しました。作品づくりについての寓話というか。頭の中の理想的な毛皮を着たヴィーナスに導かれて、作品の中にグイグイ入っていっちゃう演出家…っていう面もあるなぁと思ったり。ある種の心霊映画ですよね(´Д`)心霊ミューズですな。あえて、現実と虚構がどんどんわからなくなっていくのも作為的なところでしょう。
 

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あとやっぱ思い出したのは最近の作品では『ゴーンガール』ですな。『毛皮のヴィーナス』でワンダが「毛皮を着たヴィーナス?変態SMポルノじゃん!」と言い放つシーンがすげぇおもしろかったんですよねw そうだよなと。そこで露わになるのは、変態的な性的趣味って結局は男性主権なものだよなぁっていうことですよね。奴隷になりたい!なんていうけど、Sを演じさせてるのは男性だったりしますよね。そこをあらわにしつつ、最後にそこを突き放すというこの毒っ気も笑ったし、すごく自虐的だし、それが自分の奥さんだしで、いろいろおもしろかったですね。そう考えると、やっぱ『ゴーンガール』って最新版で究極のSM映画だったんだなぁと思いますよね。『毛皮のヴィーナス』で最終的に男と女まで入れ替わるじゃないですか、あれとかまさに!というシーンでしたね。真のSMが完成した瞬間じゃないでしょうかね。
 

 

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あと、何と言っても主演のトマがこれでもかとポランスキーそっくりのなのもおもしろかったですよねw どう見てもポランスキーなんですよねw

うん、似てる。




だからやっぱすごーくすごーくメタな映画だと思いますよね~。作家としてのポランスキー、男性としてのポランスキー、これを全部乗っけたすごく個人的な映画だと思いました。いびつではありますが、とてもおもしろかったです。


ポランスキーも家では奴隷なんでしょうかね

 

 







おわり



マイ・べスト・ポランスキー作品はこれ。

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前作。すっげぇおもしろいですよ!クリストフ・ヴァルツが最高。
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