「ぼくを探しに」を観た。 | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。







ぼくを探しに
8月27日(水) 14:20~ 渋谷シネマライズ




好き度: ★★★★☆ /5



記憶っておもしろい



シルバン・ショメ監督作品の『ぼくを探しに』をシネマライズで観てきましたよ~。

シルバン・ショメ監督作は『ベルヴィルランデブー』『イリュージョニスト』など有名どころを見よう見ようと思いつつ手が出てなかった監督でもありまして、これが初観賞になりましたよ~。そして三角締めさんが今年ベストということでますます気になり……シネマライズに行ってきました。(平日は学生1000円というぐう聖でおなじみ)

というわけで、『ぼくを探しに』とても良かったです( ´∀`)ものすごくいとおしい映画でしたよ。


主人公は小さいころに目の前で両親が死んだショックでしゃべれなくなってます。


この映画を観てすぐに連想した作品はこの間見た『思い出のマーニー』のこと。過去にトラウマを持った主人公がずっと苦悩してるんだけど、ひょんなことがきっかけで、今は消えてしまっていた記憶をもう一度思い出す。そのことで自分のアイデンティティを再発見するという、厳しくもとても暖かい眼差しの映画なんですよね。宇多丸さんの言葉を借りると、『私ったらひとりで大きくなった気でいたけど…(/_;)』ってやつで、僕らはひとりで生きてきたんじゃなくて『生かされていたんだ!愛されていたんだ!』と気づいたとき、今まで憎んでいたり、嫌いだった自分の人生がもう一度キレイに彩りだすというか、それは言い過ぎかもしれないけど、「なんか俺の人生捨てたもんじゃないかもなっ」って思えてきたり。ものすごく優しく暖かい映画だと思うのです( ;∀;)

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「ひょんなこと」とはこれです。


上にあるように謎のハーブティーを飲むと過去の閉ざされた記憶が開いていくのです。その過去の映像が本当にいとおしくて( ;∀;) まさかのミュージカルになっていてですね、その映像が非常に良いんですよ~。かつてそこにあった美しい風景、そしてこの両親は死んでしまうという事実、そしてその悲しさと楽しいミュージカルのギャップで泣いちゃいました…。

しょっぱなのトリップ。泣いた。


お母さんがほんとカワイイの。


でもポイントは良い記憶だけじゃなくて嫌だった記憶も甦らせるというのがフェアでとてもよかったです。そして、やっぱ人間の記憶のおもしろさというか、これ来月公開の「物語る私たち」にも通じること(まだみてないけどw)だと思うんですけど、人間の記憶ってほんとやっかいで、トラウマにもなったり、そして非常にあいまいなものだけど、それでも記憶というものが時に人をとっても元気付けたりちょっとでも幸せな気分に浸れるものという面もあって(思い出のマーニーしかり)。。この映画、またはマーニーと共通することだけど、人間の記憶の良い面と悪い面、つまり記憶というもののおもしろさを体感できる映画だなぁと思いましたよ~。


トラウマだったものも、実は勘違いだったりするかもしれない。


あとは単純に映画のルックがとても楽しかったですね。さすがアニメーション出身ということもあり絵本を開いたような楽しさが随所に散りばめられていました。主人公がしゃべれないキャラクターということもあり、ほとんどの見せ場をセリフではなく小道具や役者の表情に託していて演出はさすがとしか言いようがありません。クライマックスのポイントである『ウクレレと雨』の合わせ技は脱帽ものでした。素晴らしい!


この映画を観た人みんなが食べたくなるシューケット




ナイスカップル




うまい円環構造




というわけで「ぼくを探しに」とってもいい映画でした。もうあとちょいで上映終わっちゃうらしいので気になっている人は急いだ方がいいかも。

帰りにTSUTAYAで「ベルヴィルランデブー」と「イリュージョニスト」を借りましたよ~。また感想をアップいたします。では。


おわり



楽しみな2本。

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スタッフ

監督
    シルバン・ショメ 
製作
    クリス・ボルズリ
    クローディー・オサール
製作総指揮
    フランソワ=ザビエ・デクレーヌ
    ヘレン・オリーブ
脚本
    シルバン・ショメ
撮影
    アントワーヌ・ロッシュ
美術
    カルロス・コンティ
音楽
    シルバン・ショメ
    フランク・モンバレット

キャスト

    ギョーム・グイ アッティラ・マルセル/ポール
    アンヌ・ル・ニ マダム・プルースト
    ベルナデット・ラフォン アニー伯母さん
    エレーヌ・バンサン アンナ伯母さん
    ルイス・レゴ ミスター・コエーリョ
    ファニー・トゥーロン アニタ(ママ)
    キー・カイング
    ジャン=クロード・ドレフュス
    ビンセント・デナード
    シリル・クトン


作品データ
原題 Attila Marcel
製作年 2013年
製作国 フランス
配給 トランスフォーマー
上映時間 106分
映倫区分 G