「オンリー・ゴッド」を観た。 | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。




オンリー・ゴッド
1月25日(土) 19:30~ ヒューマントラストシネマ渋谷



好き度: ★★★☆☆ /5点

「ここは、笑っていいところ……だよね?」だらけのとにかく変な映画でした!


レフンの新作ということで、初日にヒューマントラストシネマ渋谷にて鑑賞。個人的なレフンとの距離は、「ドライヴ」は2012年のベストテンにも入れたくらい大好きな作品でして、プッシャーシリーズは未見ですが、ブロンソンやヴァルハラもそこそこ楽しんだ。という感じの立ち位置でございます。というわけで、今回のオンリー・ゴッドは、突出して変な映画でした。セリフがほとんどなく、全ての場面が儀式的というか記号的というか、全編意味ありげ(というか全部意味しかない)な映画でした。画面がとにかくドラッギーで悪夢的。赤や青をガッシガシに効かせた照明で見てるこっちも頭おかしくなるような映像。夢というか妄想の場面と現実で起きていることを入り組ませてますます画面自体がカオス化していく。この感じはとても気持ちよく、クラクラしてくる。たしかにリンチ感はすごく感じました。


物語自体はかなりシンプル。それこそよくある裏社会ものだったりギャング映画。そこに兄と比べられることにコンプレックスをもった主人公、強い母へのコンプレックスや依存性の間で苦悩する話なのですが。。ここで明らかに異質な存在であるある「警部補」がでてくるんですが、こいつがほんとうに特異なキャラクターで、どこから出てきたのかわからないような刀で、罪人をバッサバッサ狩っていき、制裁を与える。レフン監督いわく、この警部補を神のように描きたかったとのこと。つまり、我々の原理をは違うところで動いてる存在で、一度動き出すと止まらない「システム」や「概念」のように思います。警部補には家族がいるようですが、その他、こいつがなにものなのかはまったく説明されません。


この感じ、個人的にちかいなぁと思ったのは『ノーカントリー』、また『悪の法則』。どちらもマッカシー原作ですが、この警部補はノーカントリーのシガーや悪の法則のボリードのような。一度動き出すと、こっちの事情なんてなんにも聞いてくれない、ただ制裁を与える「システム」のようなもの。そして、罪人を制裁したあと、カラオケをするんですが、これがなんというか、唐突すぎて笑っちゃうんですが、このカラオケシーンがなんどもなんども出てきて、とても儀式的なご様子。レフンによると、このカラオケには宗教的な意味を持たせたかったとのことで、人を殺したあとの自分を清めているような、そんなご様子。カラオケシーンはほんとに笑った。宗教的な~っていうのもわかるんだけど、おっさんがカラオケをシリアスに歌って、観客である部下も感動的に聴いているようすがすごいシュールで。。


シュィーンと刀で制裁!

その後、カラオケでお清め。


あと、言いたいことはわかるんだけど、主人公のライアン・ゴスリングの行動というか表情とか売春婦や母親と接してる時の様子が、「ここは笑っていいところ…だよね?」みたいな、微妙な外しギャグ(に見えた)ものばかりで終始笑いがとまりませんでした。シュールなコメディみたいに見えました。警部補の制裁シーンもいろいろおもしろくて、ぶっ刺し拷問シーンのテンドンは爆笑しました。なんか全体的にジャック・リーチャー感がありましたね。アツアツの油をぶっかけるシーンとかも。とにかく、いろいろ展開が突飛なんだけど、すげぇまじめにやってるし、余計笑っちゃってずっとクスクス。。

売春婦に「彼女の代わりして!」といってママと会食シーン。笑いました。

その後、売春婦激おこ。ゴスリングも逆ギレ。ここも笑った。



宗教的な意味が~とか、神話的な~とかいうのもわかるし、インタビュー読むんでも実際そうだし、理解できますが、バランスがとにかく歪で、その歪さが一周してシュールなコメディになっちゃった!という個人的な感想です。これは笑っていい……ところだよね? っていうシーンだらけで、終始ニヤニヤ・クスクスしてました!そういう楽しみ方が正解なのかは不明!笑



◆◇そーす太郎的注目ポイント◇◆

チャン警部による拷問シーン


おわり



たぶん近い映画、ノーカントリー。

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悪の法則。そろそろ出るのかな?

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スタッフ

監督
    ニコラス・ウィンディング・レフン
製作
    ニコラス・ウィンディング・レフン
    レネ・ボルグルム
    シドニー・デュマ
    バンサン・マラバル
脚本
    ニコラス・ウィンディング・レフン
撮影
    ラリー・スミス
美術
    ベス・マイクル
編集
    マシュー・ニューマン
音楽
    クリフ・マルティネス

キャスト

    ライアン・ゴズリング ジュリアン
    クリスティン・スコット・トーマス クリステル
    ビタヤ・パンスリンガム チャン
    ラター・ポーガーム マイ
    ゴードン・ブラウン ゴードン
    トム・バーク ビリー
    ヤヤ・イン メイ


作品データ
原題     Only God Forgives
製作年     2013年
製作国     デンマーク・フランス合作
配給     クロックワークス、コムストック・グループ
上映時間     90分
映倫区分     R15