事業再生税理士 たれ蔵の 事業再生基礎講座

事業再生税理士 たれ蔵の 事業再生基礎講座

中小企業の事業再生に取り組む練馬区の税理士たれ蔵が、私的整理による事業再生について、基本的なことから実務的なことまで、いろいろと書いていきたいと思います。

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公的再生支援機関の代表的な位置づけにあり、全国の各都道府県に設置されています。

中小企業が資金繰りや銀行との交渉で困ったときに、相談に乗ってくれます。


協議会に相談に行くと、相談員(サブマネ)が窓口で相談に対応します。これを協議会では「1次対


応」と呼んでいます。


1次対応で、問題が解決する場合、または、これ以上改善が見込めない場合には対応終了となります。


1次対応の相談後、改善計画を策定して、金融支援を要請する必要があると判断された場合には、「2次対応」

に入ります。


2次対応では、専門家が相談者の事業内容・財務内容について調査して、報告書を作成します。その報告書に

基づいて、今後の再生計画を策定していきます。


その間、相談者と協議会が、金融機関に対して、2次対応中であることを連絡するとともに、「バンクミーティング」を開催して、借入金の返済について「一時停止」の要請などを行います。


その後、再生計画書が完成したら、再度バンクミーティングを開催し、計画内容や金融機関への要請内容の説明を行います。そして、質疑応答などを経て、各金融機関が再生計画に合意するかどうか意思決定してもらうことになります。


ここで、全金融機関が再生計画に合意すれば再生計画は成立しますが、1行でも反対があると、計画は成立せず、別の対策を考えなければいけなくなります。

ここまで来て計画が成立しないと、ダメージが大きいため、協議会は、全行同意を得られる可能性がある場合に「2次対応」に入るようにしています。


以上、再生支援協議会での手続きの流れを簡単に見てきました。


協議会利用のメリット、費用負担、2次対応での金融支援の内容、2次対応に入れる先の条件などは、また、あらためて見ていきます。




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次に、債務者にとってのメリットを見ていきます。


まずは、前回書いた通り、公的機関関与の場合、金融機関にとって

メリットがあるため、金融機関の合意を得やすい、ということです。


その他にも、

①費用面

②税制面

でメリットがあります。


①費用面

金融機関への債権放棄要請を含むような再建計画の場合、

一般的に、再建計画策定に1千万円以上の費用が掛かります。


公的再生機関利用の場合、特に中小企業に対しては、予算措置が

されているところが多く、費用面の補助が受けられます。


再生支援協議会の場合では、最大で、数百万円の補助が受けられる

ケースがあります。


②税制面

金融機関から債権放棄を受けた場合に、税務面では、債務免除益など

が発生するため、税金負担が発生しないか注意が必要です。

せっかく借入金を免除してもらっても、税金負担が必要では、意味がなくなります。


一定の公的機関関与の再生手続きの場合には、

期限切れ欠損金の優先控除、評価損益の

益金・損金算入が受けられるなど、税金負担を回避する特例が設けられています。


次回から、それぞれの公的再生支援機関について、見ていきます。



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債権者と債務者、両方について考えます。まずは、債権者のメリットから。


○ 債権者のメリット

債務者から提出された再建計画について、債権者である銀行側が

内容を検討するわけです。


一般的に金融機関では一定の基準を作って、計画への同意が可能か

検討しますが、その検討項目の中に、

透明性と公平性が入っている場合が多いと思います。


①透明性

まず、その再建計画の検討に当たり、債務者の資産内容、収支(利益)

が実態を表しているのか、が非常に重要です。

債務者の有利になるように都合の悪い部分を隠して計画を作られると

困ります。


公的機関関与の場合は、第3者が実態調査をしたうえで、財務内容を明らか

にするとともに、それをベースに策定された計画書の内容については、

専門家のチェックが入りますので、


債務者の実態が明らかになり、

透明性の高い計画書が作られる可能性が高まります。


②公平性

再建計画では、取引金融機関に金融支援を依頼する訳ですが、

各金融機関の「負担」は、公平であることが求められます。


この場合に、「何が公平か?」が、簡単に合意できない場合が多く、

当事者間での話し合いでは、なかなかまとまらないのが実情です。


たとえば、債権放棄をする場合に、各行の放棄金額をどうするのか、

担保の評価をどうするのか、貸付金額が大きい金融機関と、少額の所を

同じに扱うのか、などでは各行の利害が絡み、主張は食い違ってきます。


公的機関関与の場合には、利害関係のない第3者が行司役を務めるため、

公平性の高い計画が作られる可能性が高まります。



債権放棄など、金融機関自身の利益に直接影響を及ぼす行為については

金融機関自身の収支の問題に加えて、株主など、外部関係者に対しても

説明可能なものでなくてはなりません。


公的金融機関関与の再建計画であれば、対内的・対外的に、

自身に損失を出す債権放棄計画に合意したことの

正当性を説明しやすい、というメリットがあるのです。


次回は、債務者にとってのメリットに行きます。

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