医療に「二刀流」は存在するか!? | 医療とバレーボールとアメリカ留学記

医療とバレーボールとアメリカ留学記

2016年5月9日からアメリカオハイオ州のオハイオ州立大学に留学することとなりました。日本では埼玉の大学病院でリウマチ膠原病内科医をしていました。冨永こよみ選手を中心に上尾メディックスを応援しております。これからは基本的には留学中の日記が主となります。

医者にも色んなスタイルがある。

ある一つの領域に非常に特化した専門性を持つ医者から、ありとあらゆる疾患を幅広く診療する医者まで。

多分、世間のイメージだと前者が大学病院の医者で後者が町医者であろう。

必ずしもその構図が正しいとは言えないが、確かにそういう傾向はある。

ちなみに私自身はおそらく今後目標とするスタイルは両者を兼ね備えた、つまり専門領域はNo.1であるが、その他はNo.2となれるような感じになりたいと思っている。

現実の医療では、単一の疾患だけを持っている患者さんは少なく、複数の疾患を患っている場合が多い。

そうなると、それぞれの専門家に診てもらうというのが現実的に起こっていることであり、当然それは必要なことだが、何でもかんでもそれぞれの専門家に診てもらうのは現実的ではなく、患者さんの負担も大きい。

可能であれば一人の医者が複数の疾患をカバー出来ればそれに越したことはない。

私自身も自身の専門疾患だけでなく、内科であればある程度のことは自分でやっているし、内科以外でも皮膚科や泌尿器などのちょっとした管理は自分でやることもある。

でも、だからといって私は決して「二刀流」だとは思っていない。

やはり自分の専門領域以外で難しいことが起こったらすぐに専門家に紹介するように心がけている。


昔の医者は何でも診ていたようである。

消化器外科の父親も整形外科や婦人科の手術をしていたようである。

先日書いたリウマチの治療も昔は鎮痛剤とステロイドを適当に使い症状を緩和する治療だったので、誰でも出来るような治療だった。

でも、今は違う。

リウマチについては特にここ10年で劇的に変化したことは話したが、リウマチに限らずありとあらゆる疾患において非常に専門性が高くなり、何でもかんでも一人の医者が知識を習得することは困難となってきた。

それに今の時代は専門外のことを行ってもしものことが起きたら、適切に専門家に紹介をしなかったとして訴訟になる時代である。

少なくとも今の時代は最低限のことを幅広くカバーして診ていく姿勢は大事なのだが、専門はあくまで一つの領域であり、それ以外については無理をせずにいかに適切なタイミングで専門家に紹介できるかが重要である。

なぜそうなったのか、それは医学が発展したからである。

たまに外科医で「外科は内科も診れて手術も出来るから内科よりも上」と言う人がいる(実は私は幼少期に消化器外科医である父親とその妻である母親からそう教わった)が、内科医である私に言わせれば内科を愚弄しているとしかいいようがない。

もちろん、こうなると専門バカが増える懸念はあるので、常に病気ではなく人として診ることが出来るバランス感覚を持った医者が必要であることは言うまでもない。


さて、私がこんな記事を書いて表題のように「二刀流」なんて言葉を使ったのは当然現在注目されている大谷翔平選手を意識してである。

大谷選手は現在に至るまで常に二刀流でいくべきか辞めるべきかということが議論になる。

私はこんな記事を書いたこともあり、確か昨年も書いたと思うのだが、基本的には二刀流には反対である。

しかし、賛成派の意見も理解は出来なくはないし、専門家の間でも賛成意見はある。

我々がとやかく言う問題ではないが、一つ思うことはやはりかつて野村克也さんが言っていた「もし二刀流が成功したら、そこまでプロ野球のレベルが落ちたのか」という言葉は個人的には非常に説得力のある言葉だと思う。

もちろん、医療と野球は全く違うのであくまで私の意見は参考までに。


(本日はアメンバー限定記事はありません)



バレーボール ブログランキングへ

  twitterアカウント:@taqman_vmed(タックマン)

アメンバー応募しております!申請の際には自己紹介を御願いします(この記事のコメントでもメッセージでも構いません。まだ数人、申請はありましたが自己紹介がなく承認できないでいますので、よろしく御願いいたします)。

アメンバー限定記事一覧
http://ameblo.jp/taqman/amemberentrylist.html